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※注意 特になにもしてないゆっくり一家が虐められます! 「ピタゴラゆっくり 装置編」 梅雨も中ごろにになり、久々の晴れ間を見せた幻想の森の中をあるゆっくり一家がお散歩していた。 母親と思われるゆっくりれいむの後ろを10匹ほどの子ゆっくり達がぞろぞろとついて回っている。 久々の晴れ間とあって皆、意気揚々としている。 「ゆっ!ゆっ!ひさしぶりのおそとはきもちぃなー!」 「そうだね!ゆっくりたのしもうねっ!」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ~♪」 「おかぁさん、ゆっくりおなかすいたよー、やすもうよー。」 「ゅゅ、ゅっくりちかれたー。」 子ゆっくり達は思い思いにしゃべっている。 「そうだね。そろそろゆっくりしようね。」 一番小さな子ゆっくりが疲れてきているのを確認すると、ちょうど川辺に差し掛かったこともあり、 おかあさんゆっくりはそこで休憩をとることにした。そこか花も咲きほこり、それにつられて虫たちも 集まっており、ゆっくりには最高のゆっくりスポットだった。 「おみずつめたーい!」 「すっきりー!」 川辺で水浴びをするゆっくり。 「はふはふ、うまっ、めっちゃうまコレ!」 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!」 花や虫を食べるゆっくり。 はしゃぎまわる子ゆっくり達を見守りながら木陰で休むおかあさんゆっくり。 と、そこへガサッゴソッと近くの草むらからなにやら音が聞こえてくる。 「お、なんだゆっくりの家族か。」 草むらから一人の男が出てくる。 「ゆゆ?おじさんだれー?」 「おじさんはゆっくりできるひとー?」 「おじさんゆっくりしていってね!」 男に気づいた子ゆっくり達がテンプレな台詞をいいながら男に近寄っていく。 「ゆっくりちかづいちゃだめだよっ!」 突然、おかあさんゆっくりが叫び子供達を引き止める。 「おかあさんどうしたの?」 「どうちたのー?」 いきなり大声を上げた母親にびっくりしつつも、疑問の声を投げかける子ゆっくり。 このおかあさんゆっくりは人間がどんなものなのか僅かながら知っていた。食べ物やお家 をくれたと思ったら、いきなりひどいことをしてゆっくり達をゆっくりさせてくれないのだ、と 仲間のゆっくりから聞いていたのだ。特に「かこうじょ」の人というものには絶対に近づいたら いけないらしい。 「おじさんかこうじょのひとでしょ!れいむしってるよ、かこうじょのひとはあぶないって!」 木陰から移動し、男から子供達を隠すようにしながら言うおかあさんゆっくり。母親のいつもと 違う気迫に少々おびえながおかあさんゆっくりの陰から男を見上げる子ゆっくり。 「ははっ、僕は加工所の人間なんかじゃないよ、ただのきのこ取りさ。ほら、これが証拠だよ。」 そういって男は自分の背負っている籠の中身をゆっくり達に見せる。確かにその籠にはたくさんの きのこが入っていた。 男の見せたきのこに子供達は一瞬にして食べたそうに瞳を輝かせたが、それでもおかあさんゆっくり は男に疑いの目を向けつつ、子供達を制止する。その様子をみた男は頭をぽりぽりと掻きながら苦笑する。 「おいおい、そんなに怖い顔しないでくれよ。ほら、お近づきのしるし。」 そういいながら男は、自分のズボンのポケットから飴玉やクッキーを取り出し、ゆっくり達の前に置く。 このお菓子はゆっくり達に出会ったとき、籠の中身から気をそらすために男が常に持ち歩いているものだ。 当然、賞味期限などはとっくの昔に過ぎている。 目の前においしそうなものが来たことで、子ゆっくり達は我を忘れ、母親の陰から飛び出し喰らいつく。 「はふはふ、あまっ、うまっ、めっちゃスイーツ!」 「む~しゃ、む~しゃ、とってもしあわせ~。」 「あまーーーーーーーーい!」 「おいち、おいちぃ!」 無我夢中でお菓子に喰らいつく我が子に最初は戸惑いつつも、男がにこにこしながら特に何もしないこと、 子供達にも何もおこらないこと、そして、そういえば自分もお腹すいたなぁ・・・。と、思っていたことから 自分も男の置いたお菓子に恐る恐る口をつける。 「・・・!うまっ!めがっさうめぇ!」 飴玉を口に入れた瞬間、おかあさんゆっくりの頭の中は食欲で一杯になった。 甘いさすがゆっくり甘い。 「どうだい君達、おいしかったかい?」 ゆっくり達がひとしきり食べ終わるのを待ってから尋ねる男。 「おじさん、おいしかったよ!でも、ゆっくりもっとたべたいよ!」 「ゆっくりちょうだい!ゆっくりちょうだい!」 「MOTTO!MOTTO!」 「もっちょ、もっちょー。」 ゆっくり達の反応はまさしくテンプレ乙。といわざる終えないものだった。特に母親ゆっくりは、さっきまで 疑っていたのはどこにいったのか一番声高におかわりを要求してくる。 「それじゃ、おじさんのお家に来るかい?」 「おじさんのおうち?」 「そうだよ。」 「おじさんのおうちにはたべものがいっぱいあるの?」 「そうだよ。しかも食べ物だけじゃなくて君達にぴったりの遊び場もあるし、かなりゆっくりできるところだよ!」 その言葉をきいた瞬間、ゆっくり達は目を今まで以上に目を輝かせ「ゆっくり!ゆっくり!」と飛び跳ねている。 「それじゃ、改めて聞くけどおじさんのお家に来るかい?」 そう男が尋ねると、ゆっくり達は声をそろえて、 「「「「ゆっくりおじさんのおうちにいくよ!」」」」 こうして、1人と11匹の行列は人里へと向けて出発した。 途中、ゆっくりれみりあがゆっくり達を襲うと飛び掛ってきたが、男がそのキレイな顔をふっ飛ばしてやったので、 ゆっくり達はは更に男のことを信用した。 そして― 「ここが、おじさんのお家だよ!」 そういって男が扉を開け、中にゆっくり達を通してやる。 「わぁー、ひろーい!」 「ここならゆっくりできるね!」 「ゆっくりみて!たべものがあるよ!」 「わーい!わーい!ゆっくりしよー!」 部屋に通されたゆっくり達は思い思いの感想を述べながら、目ざとく見つけたお菓子の山に群がっていく。部屋の広 さは、6畳ほどだがゆっくり達には十分すぎる広さだ。そこには大量の(賞味期限切れの)お菓子があり、部屋の隅には 水のみ場が、そして、部屋の中央には滑り台やらトランポリンやらアスレチックやらが合体したものが置かれている。 これらはすべてゆっくりのサイズに合わせて作られている。 「ゆゆっ!すごいねおじさん!ほんとにゆっくりしていっていいの?」 いつの間にかお菓子を満腹になるまで食べ終え、ゆっくり用総合レジャー施設で遊んでいる子供達を優しく見つめながら 男に尋ねるおかあさんゆっくり。 「当然だよ!ここはおじさんがゆっくりのためにゆっくり出来るように作ったんだからね!」 と、親指をグッと立てたながら笑う男。 「おじさんありがとう!じゃあ、れいむもゆっくりするね!」 そういっておかあさんゆっくりは子供達のもとへぽよんぽよんと跳ねていく。それを後ろから見ながら男が、あっ、思いつい たような声を上げる。 「折角おじさんの家に来てもらったんだ、何か歓迎のお料理を作ってあげないとね!」 「ゆゆ?おじさんれいむになにかくれるの?」 「そうさ!おじさんとっておきのおいしいお料理さ!」 その言葉を聞いて喜ぶ母ゆっくり。さらに男は、 「そうだ、そこのちびちゃん達にも手伝ってもらおうかな。」 そういって男は子ゆっくり達の中で一番目と二番目に小さいゆっくりを指差す。 「ゆ?れいむがにゃにかおてちゅだいするのー?」 「すりゅのー?」 この2匹の大きさはまさしく一口サイズといっていい大きさだった。 「そうだよ、おじさんと一緒におかあさんのためにおいしい料理を作って、お母さんを喜ばせてあげよう。」 おかさんのために、おかあさんを喜ばす、といった言葉がまだ幼く、周りに世話をしてもらっている2匹の心に 響いたのか、俄然やる気に満ちた顔になる。他の子ゆっくり達も自分も手伝うと申し出るが、男がこの2匹が一番 いいのさ。といいながら、子ゆっくりを1匹、滑り台から転がしてやる。 「ゆぷぷぷぷぷぷぷぷぷ」 と声をあげながら滑り降りてくる子ゆっくり。その声に驚き、滑り終えて床に突っ伏す子ゆっくりを見守る他ゆっくり 達。と、突然突っ伏していたままのゆっくりが飛び起き、 「ゆー!!これ、とってもたのしいよ!みんなもゆっくりやろうね!」 興奮しきった顔で叫んだゆっくりの声によって我も我もと滑り台のてっぺんへと登り始める。 それを見た男は、じゃ逝こうか。と、ちびゆっくり達を抱え台所のある扉へ向かう。ちび達は滑り台を名残惜しそう 見つめながらも、母の役に立ちたいと目を輝かせながら男の手の中に納まった。 おかあさんゆっくりは幸せだった。こんな広くて食べ物がたくさんあるところでゆっくりできるのが、我が子たちが 楽しそうにしているのを、なによりまだ幼い末娘達が自分のためにおいしいものを作ってくれるのを。 しかし、おかあさんゆっくりは気づかない。この部屋の壁は分厚く、防音仕様になっていることを。おかあさんゆっくり は気づかない、この部屋につながる部屋の扉はすべて鍵付であること。おかあさんゆっくりは気づかない、この部屋には窓 が無いことを。 ―――十数分後 「お・ま・た・せ~☆」 男がそんな声あげるんじゃねー!と言われそうな声色で男が皿を抱えて入ってくる。その顔はなぜかとてもやりきった後の顔だ。 「ゆゆ!おじさんまってたよ!はやくゆっくりちょうだいね!」 などと、微妙に矛盾したこと言うおかあさんゆっくり。 「ふふふ、ごめんごめん。はい、これ!」 そういって男は持っていた皿をゆっくりの前に置く。 「わーすごーい!」 「おいしそう!」 「いいにおい~!」 男の置いた皿の中身をみて、遊びつかれて母親にくっついて休んでいた子ゆっくり達が感想を口にする。 男の持ってきたものは2つの上げゴマ団子だった。丸々としたそれはたっぷりとゴマがまぶされ狐色になるまで油で揚げられている。 団子からはゴマの香りが立ち込める。想像するだけで腹が減ってくる。 それを目の前で見せられたおかあさんゆっくりは待ってました!と言わんばかりにかぶりつこうとする。しかし、直前でふと違和感に 気づき、男に尋ねる。 「ところでおじさん、れいむの赤ちゃん達はどうしたの?」 そう、男を手伝ってもらうといって連れて行かれたちび達がいないのだ。 「ちょっとお団子を作るのに疲れた休んでるだけだよ。今はおねんねしているよ。」 男がそういうと、ならば大丈夫と思ったのかおかあさんゆっくりは揚げゴマ団子にがぶりつく。 「はふ、あつっ、はふ、うめっ、めっちゃうめこれ!!!」 かなり気に入ったのか思わず2個いっぺんに食べるお母さんゆっくり。それを見た男は密かに笑みを浮かべる。 おかあさんゆっくりが団子を両方とも半分ほど食べたころに男がぱんぱんと手をたたく。それにつられておかあさんゆっくりは食事を 止め、母親の食事を羨ましそうに見つめていた子ゆっくり達も男に注目する。 「おかあさんばっかり楽しんでちゃ、君達がかわいそうだから今からおじさんが手品をしてあげるよ!」 「ゆゆ?てじな?」 1匹の子ゆっくりが聞き返す。 「そうだよ、さぁ見ててごらん。」 「ゆゆ??」 そういって、男は1匹の子ゆっくりを手のひらにのせるとどこから取り出したハンカチをかぶせる。 「おじさーんなにもみえないよー!」 「おじさんはやくそれをどけてあげてね!」 ゆっくり達の抗議の声を無視して呪文を唱える男。 「3・・・2・・・1・・・、オマエハモウシンデイルー!」 そういって男が勢い良くハンカチを上へつまみ上げる。 「「「!?!?!?!?」」」 ゆっくり達の顔が驚愕の色に染まる。なんと、さっきまで男の手のひらにいた子ゆっくりは一枚のクッキーになってしまったのである!! 「はいどうぞ、お食べ。」 そういって男は驚き固まっている子ゆっくりにクッキーを差し出す。 「クッキーうめぇ。」 思わずクッキーを食べる子ゆっくり。途端、 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れいむがれいむをだべだぁぁぁぁぁぁ!!」 1匹の子ゆっくりがそう叫んだことてゆっくりれいむ一家は狂乱状態となった。 「どうじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「おぢさんゆっぐりじねぇぇぇぇ!」 「あがぢゃんがあ!れいむのあがぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 一家はそろって男に体当たりをしてくる。男は慌てて、 「ほらほら、すこし落ち着いて!れいむはちゃんとここにいるよ!」 そういって、男は再びハンカチを手のひらにのせると今度ゆっくりとハンカチを除ける。するとそこには1匹の子ゆっくりがいた。何が起 こったのか理解できずきょとんとした目で周りを見渡す。 「よがっだぁ!わだじのあがぢゃんいぎでるー!」 「ゆっぐりじでいこうね!ゆっくりじでいこう!」 子ゆっくりの無事を確認した一家は今度は嬉しさのあまり泣きじゃくる。 「みんなゆっくりしようね!ゆっくりしようね!」 当の子ゆっくりは状況をいまいち飲み込めないのか男の手のひらで楽しそうに飛び跳ねる。 「おじさんひどいよ!いきなりこんなことするなんて!」 狂乱状態から立ち直ったおかあさんゆっくりは男に抗議する。 「はは、ごめんごめん。でも、手品っていうのはこうやって皆を楽しませるものなんだ!」 「もう!今度からはゆっくり気をつけてね!」 おかあさんゆっくりは頬をぷくーと膨らませるが、手品自体が安全なものとわかったので安心したようだ。 そのことが子ゆっくり達に伝わったのか、今度は自分にやってという声が上がり始めた。男はそれを快く受け、皆に代わりばんこで手品をして あげた、不思議で面白いものが見れ、更にはお菓子まで貰える、まさに一石二鳥だった。 全員が手品を体験し終えると、男はゆっくり用総合レジャー施設の前に立つと、滑り台の終端部分に何か引っ掛けるような動作をした後、その 部分が隠れるようにハンカチのカーテンを掛けると、 「さぁ、ここからが本番だよ!今度はこの滑り台から降りてきた子がハンカチにはいると、なんと!餡子入りのお饅頭に変わりま~す!」 その言葉に喜びの声をあげるゆっくり達。続けて男は、 「さらに、今回は3人一緒にこの手品を受けてもらいます!もちろんお饅頭も3つ分!」 その言葉で更に色めき立つゆっくり達。れいむがやる!れいむがやる!と男に擦り寄る。そして男は適当に3匹の子ゆっくりを拾い上げる。 拾い上げられた子ゆっくりは満足げだ。他のゆっくり達はブーブー文句をいっているが、男のみんなちゃんとやってあげるよ。という言葉に それなら大丈夫だね!と言い合った。 「それじゃ、いくよー!」 そういって3匹の子ゆっくり達を立て続けに転がす。子ゆっくり達の顔の向きは皆、外側を向き、横にころんころんといった感じで転がっていく。 この滑り台、滑り台というにはレールに近い。そう、工場などで製品の向きをしっかり固定できるようなレールに。 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」 子ゆっくりはご満悦だった。姉妹の誰よりも最初に選ばれたから。それに、この滑り台はとても面白いからだ。目はぐるぐる回ってしまうが、この スピード感は普通にゆっくりしていたら体験できないものだ。そろそろこの滑り台ももうすぐ終わってしまう。そうなるの少し寂しい。でも、おじ さんに頼んだらもう一度させてくれるかもしれない。そうだ、そうに違いない。と、思いながら視界がハンカチに遮られた瞬間、子ゆっくりの体の 中を何かが走り抜けていった。子ゆっくりはそれが何なのかを確認するまもなく意識が暗闇に溶けた。 3匹の子ゆっくりがハンカチのカーテンに吸い込まれたこと確認した男は、ニヤッと笑みを浮かべた後、 「さぁさぁ、みなさんお持ちかねお饅頭だよ!3、2、1!オマエハモウシンデイルー!」 そういって男はハンカチを外すことなく、手でひょいと、子ゆっくり達の前に饅頭を置いてやる。そこには、3つの饅頭がきれいに2等分ずつされていた。 「ゆっくりあま~い!おいしー!」 「うまうまうまうまうー☆」 「おいしいね!」 「おいしいね!」 5匹の子ゆっくり達は目の前に置かれた饅頭にかぶりつく。そして、1個あまった饅頭はおかあさんにあげることにした。 「ゆっゆっ!みんなありがとね!」 子供達の厚意に心から感謝するおかあさんゆっくり。食べ終えた子ゆっくり達は次は自分の番だ!と騒ぎ立てる。 その声を遮るように男は、 「ふふ、まぁ少しまって。実はまだお饅頭は3つ残っているんだよ!」 男の予想外の言葉に子ゆっくり達は喜ぶ。 「ほんと!?はやくちょうだい!」 「ちょうだい!ちょうだい!」 その声に応えるように男はうなづくと、 「はい、ゆっくりお食べ。」 そういって、ハンカチの裏から無造作に投げる。 べちゃっ。という音とともに床に落ちる饅頭らしき物体。慌ててそれに駆け寄る子ゆっくり達。 瞬間、空気が凍る。 床に投げ出されたのはさっきまで自分達と遊んでいた姉妹の顔。しかし、そこにあるのはどこか虚空を見つめて笑う薄っぺらい顔だけだった。 「どうしたんだい?その 残 り の お 饅 頭 を食べないのか?」 やたらお饅頭という言葉を強調する男。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れいむのあがぢゃんんんんんんんんn!!」 最初に叫んだのはおかあさんゆっくりだった。その声をきいた瞬間再び狂乱が訪れた。 「どうじでぇ!どうじでごんなごどずるのおぉぉぉぉぉおおえろ!!」 「いや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ゆっぐりじだいいい言いいいゆっぐりざぜでえええええええ!!」 「れいむがれいむをだべぢゃっだの゛ぉぉぉぉっぉぉぉお!!!?????」 「ああそうだよ。君達が食べた。」 ゆっくりの質問に親切に応えてあげる男。 「なんでぇええええええなんでえええええええええええ!!!!」 「おうぢがえりだいよおっぉぉぉっぉぉぉおおおおおおお!!」 「今だじであげるからね!今だじであげるからね!ぉえろろっろろろrrゆぶぶぶぶぶ!?!」 「おいおい、吐くなんて勿体ないことするなよ。」 いつのまにかゴム手袋を装備した男は、自分の食べた姉妹を助けようと自ら餡子を吐き出した子ゆっくりの吐しゃ物を手ですくい、そのままその 子ゆっくりの中へ押し込んでやる。しかし、その嘔吐の瞬間を見たことによる貰いゲロ祭りが始まった。 「げぇぇぇぇぇーゆぶぶぶぶぶ!!??」 こっちが吐けば押し戻し。 「オロロロロロロロrゆべべべべべ??!!!」 あっちが吐けば押し戻し。 もはや貰いゲロから男の押し戻す反動で吐き出すため子ゆっくり達の嘔吐は止まらない。男はしっていてなお、あぁ急がし急がし。と、まるで宴会がある 日の巫女のようにつぶやきながら、実に楽しそうな顔で子ゆっくり達の間をいったりきたりする。 母ゆっくりは耐えていた。自分も早く吐き出してしまいたいと思いながらも、目の前の惨状がどうにか精神を保持させていた。 「・・・ど、どうじでごんなごとずるの!?ゆっぐりできないよ!!ゆっぐりおうぢがえる!!」 吐き出しそうな感覚をこらえながら男に怒りをぶつける母ゆっくり。 「どうしてだい?折角ここにはおいしいものがいっぱいあるし、ゆっくりできるじゃないか?」 男は手を止め、何を今更。という風な顔で聞く。 「ゆっくりできないよ!!!おいしいものもいらないよ!!!だがらおうちかえるよ!!!」 「何を言ってるんだい?さっきあんなにおいしい、おいしい、て言って食べてたじゃないか?特にその揚げゴマ団子を。」 男は母ゆっくりの傍らにあったゴマ団子の皿を指差した。それを見て、母ゆっくりは、確かにこれはおいしかったが、だけど・・・とおもって口を開こうとした瞬間、 「そりゃうまいよなぁ~、自分が命の危険を冒してまで交尾した結果できた赤ちゃんだもんなぁ~。 そりゃうまいよなぁ~、自分が一生懸命になって世話して育てた赤ちゃんだもんなぁ~。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆ?」 男の言葉に思考が止まる。こいつはなにをいっているんだ?なにをこいつはいっているんだ? りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない 母ゆっくりが困惑した顔を浮かべるのを見て、やれやれといったように男がゴマ団子を取り、ちょうど食べ残された部分を指の腹で削っていく。 「ほら、これのことだよ!」 満面の笑みでその削れた部分を見せる男。 そこにあったのは2つの顔。母ゆっくりが良く知っている顔。まだまだ幼く世話のかかる子の顔。母のために始めて自分から行動を起こしてくれたこの顔。 しかし、その2つの顔はまるでこの世の地獄のの様な顔をしていた。両目は力いっぱい開かれ白目を向き、何かを堪えるように激しく食いじばられた口、 誰かに助けを求めるように大きく開かれた口。その形相はまるで阿吽力士像のようだった。 「ゆ゛!?!?!?!?!?・・・ゆげろろっろおろろろrゆぶぶうぶぶぶぶ!!!」 「おいおい、だから吐き出すなんてもったいないだろ?」 ついに母ゆっくりの精神は限界を超えた。まるで黒い滝といってもよい量の餡子を吐き出す。 しかし、即座に男によって餡子は元の位置に戻される。本来は姉妹を助けるために餡子を吐き出していたはずの子ゆっくり達は、命の危機を感じたことにより 床にぶちまけられた餡子を再び口に含んでいた。しかし、母の嘔吐と男の作ったゴマ団子の正体を知った瞬間、再び嘔吐し始めた。 「ああもう!そんなに一斉に吐くなよ!!」 ほぼ同時に子ゆっくり達が吐いたので、男はこれ以上吐かれて死なれたこまると、せっせと子ゆっくり達に餡子を戻した後、どこからか取り出した粘着テープで 子ゆっくり達の口をぴったりとくっつけた。ヴーヴーと苦しそうにうなる子ゆっくり達。 「どうじで、どうじでごんなごどずるのぉ!?れいむだぢわるいごとじてないのにぃぃぃぃ!」 脅威の精神力で母ゆっくりは持ち直し、男に抗議の体当たりをする。 「どうしてだって?それは僕が君達を愛しているからだよ!」 体当たりをひょいと避け、男は母ゆっくりを掴むと自分と目が合うように持ち上げる。 「ゆ゛?あい???」 涙とその他もろもろでぐちゃぐちゃになった顔で男に聞き返す母ゆっくり。 「そうさ!愛だよ!!君達が君達の赤ちゃんを愛すように、僕は君達を愛している!!!そう!こんなふうに!!!」ブチィっ! 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 男の大げさな愛の告白とともにゆっくりの頬が力いっぱい引きちぎられ、母ゆっくりは大声をあげた。 「じないー!れいむばあがぢゃんにごんなごとしなiうぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 母ゆっくりの言葉を遮ったのは、ちぎれた頬から挿入された男の腕だった。 「ああ・・・。その声だ!wwwwその声を聞くたびに僕は満たされる!!wwwwほら、もっとだ、もっと聞かせてくれよ!!wwww」 そういって男がゆっくりに挿入した腕に力を入れようとした瞬間。 pipipipipipi・・・・・・ 幻想郷には似つかわしくないデジタル音。それは男のズボンのポケットからするものだった。 「何だ・・・、もうこんな時間か。仕方ない。」 その音の発信源を停止させた男はつぶやく。 「ごめんなー?ゆっくり。おじさんこれから別の用事をしなきゃいけないんだ。」 そういって男は腕をゆっくりから引き抜くとゆっくりをゆっくりと下ろした。 「ハァhァ・・・おじさん・・・ハァ・・・どっがいぐの・・・?」 息もたえたえな母ゆっくり。 「そうなんだよ。おじさんこれから出かけなきゃいけないんだ。」 この男がここからいなくなる。それを聞いたゆっくりの心に希望の火がともる。 「ゆっ・・・ゆっくりでかけてきてね・・・。ゆっくりかえってこなくていいよ・・・・・・!」 「はは、それじゃ行ってくるよ。また、明日ゆっくりしようね。今夜もうおやすみしようね。」 噛み合わない会話を残しつつ、男は部屋の出口へ向かい、明かりを消した後部屋を後にした。 窓がないこの部屋の電気が消えたことで、部屋は新月の森よりも暗い真の闇の世界となった。急に真っ暗になったことで子供達はパニックを起こし、 うーうーとうなっている声が聞こえたが、おかあさんゆっくりには今はそんなことどうでも良かった。幸い、男によってつけられた傷口は致死量の餡子 が出ることもなく、このまま眠ればいくらか回復するだろう。それよりも今は疲れた・・・。あの子達もそのうちなき疲れて眠るだろう。ここは誰も入って これないゆっくりの楽園。あかちゃんが一杯死んじゃったけど、まだ5人もいるじゃないか、まだまだ大丈夫。そう考えながら母ゆっくりは眠りについた。 あとがき的ななにか あれ、おかしいな?最初は滑り台の部分を小ねた的にやって終わるはずだったのになんでこんなに長いんだ? しかも全然ピタゴラできてないよ?バカなの?しかも続くの? どうする?俺!! 名も無き作者 ゆっくりいじめ系288 ピタゴラゆっくり2?
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がさ。 がさがさがさ。 「ん……?」 何やら耳元で音がする。 不快感を呼び起こす騒音に、眠気が少しずつ引いていく感覚。 瞼越しに伝わる光量からすると、時刻は丁度目覚めるのにいい時間帯だろうか。 がさがさがさがさがさがさがさ。 しかしなんだこの音は。 まるで何かが這いずり回っているような…… 「…………うぉっ!?」 目を開けた瞬間映った光景に、俺は驚いて跳ね起きた。 俺の周囲、円状に集まっている、虫の大群。 カブトムシやらコオロギやらゴキブリやら、その種類は半端なく多い。 生理的嫌悪を催す光景に、鳥肌がぷつぷつ浮かび上がる。 こんなことを仕出かす犯人を、俺は一人しか知らない。 「リ、リグルちゃんか……!」 朝の目覚ましモーニングサービスだかなんだかで、こういう事業を始めたことは知っていたが。 ちゃんと丁重にお断りしておいたのになぁ。 後で文句言わないと…… 「こ、こっちに来ないでね! ゆっくり離れてね!」 「……ん?」 何やら慌てた声が聞こえ、俺は声がするほうを向いた。 「ま、まりさは美味しくないよ! ゆっくりしないでどっか行ってね!!」 昨日、透明の箱に閉じ込めたゆっくり魔理沙。 その周囲に、虫たちが群がっていた。 「ゆ、ゆーっ!!?」 「れいむたちはごはんじゃないよぉー!!?」 「ゆっくりできないよぉぉぉ!!!」 赤ちゃんゆっくり霊夢の周囲にも、虫たちが興味津々といった様子で集まっている。 赤ちゃんゆっくりたちは可哀相にすっかり怯えてしまい、中央に固まってゆーゆー泣いていた。 ちょっと萌える。 「お、お兄さん、ゆっくり助けてね!」 そして我が愛しのマイペット、ゆっくり霊夢は眠りから眠りから覚醒した俺に気付き、必死に助けを求めていた。 むっ、これはいかん。 俺は虫を踏まないよう慎重に足元を確認しながら、ゆっくり霊夢を閉じ込めた透明箱を抱え上げ、テーブルの上に避難させた。 「お、お兄さん、魔理沙たちも助けてね!!!」 「おに゛いざん、ゆ゛っぐり゛ざぜでぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 他のゆっくりたちからも救助の声が上がるが無視。 だってこいつらの泣き顔見るのが超快感なんだもん。 涙を流しながら必死な表情で右往左往しているゆっくりは、鼻血が出そうなほど可愛いと思う。 こんな光景が見られたのなら、虫たちに少し感謝してもいいくらいだ。 俺は赤ちゃんゆっくり霊夢の箱を開けると、一匹だけ取り出した。 「ゆっ、たかいたかーい♪」 「あ、いいな!」 「れいむたちもたすけてね!」 虫たちの包囲網から救出してもらえたと思ったのだろう、俺に掴まれた赤ちゃんゆっくり霊夢が歓声を上げ、他のゆっくりたちが文句を言う。 俺はにこりと微笑むと、足元でうぞうぞしている虫たちに優しい声で言った。 「お前たち、餌をやるぞ」 「……ゆっ?」 何を言ってるのか分からない、といった感じの赤ちゃんゆっくり霊夢。 俺はそいつが理解するよりも早く、手の中のゆっくりを床にぽとりと落とした。 「ゆっ、ゆ゛ーーーっ!!?」 途端、涙声で逃げ出そうとする赤ちゃんゆっくり霊夢。 虫たちはそれなりに頭が良いのか、いきなり襲い掛かろうとはせずに、逃げ場を少しずつ埋めるように移動していく。 「や、やめてね! 赤ちゃんを助けてね!!!」 ゆっくり魔理沙の慌てた声。 俺はそんなゆっくり魔理沙に指をびしりと突きつけた。 「問題!」 「ゆっ!?」 「ゆっくりアリスは一度の交尾で、ゆっくり魔理沙との子供を六匹作ることが出来ます。七度ゆっくり魔理沙に襲い掛かったら、何匹子供が生まれるでしょうか?」 「ゆゆっ!? まりさは七回もこども生めないよ!?」 「はい、スタート。答えられたら子供は助けてやる」 有無を言わさず開始宣言。 ゆっくり魔理沙は悩みだすが、ゆっくりアリスに襲われる自分を想像してしまうのだろう、時々小刻みにぶるぶる震えていた。 俺は残り五匹となった赤ちゃんゆっくり霊夢たちに近付き、力付けるように言う。 「お前たちのお母さんがあのゆっくり霊夢を助けてくれるみたいだぞ!」 「ゆっ、本当!?」 「で、でも……」 一瞬明るい表情を見せる赤ちゃんゆっくりたちだが、すぐに暗い顔で俯いてしまう。 昨日、妹の一人が見捨てられた(実際は無理難題だったわけだが)ことを思い出したのだろう。 「まぁ、信じてな」 俺はそう言って、虫たちの群れに放り込んだ赤ちゃんゆっくり霊夢を観察し始めた。 涙目でぴょんぴょん飛び跳ねながら、全力で逃げようとしているその姿は果てしなく愛らしい。 しかし逃げようとした矢先に虫たちに回り込まれ、別の方向に逃げようとして、やはり回り込まれる。 ……む、面白い趣向を思いついた。 俺は机の引き出しから下敷きを取り出すと、姉妹である赤ちゃんゆっくり霊夢たちの閉じ込められている箱まで下敷きを使って虫を払い除け、道を作ってあげた。 「れいむ、こっちだよ!」 「ゆっくりしないでこっちにきてね!」 「ゆっ、れいむがんばるね!」 姉妹たちの声に勇気付けられ、赤ちゃんゆっくり霊夢は必死の力で床を飛びはね、箱に近付いていく。 しかし後ろから、どんどんと迫る虫たち。 まだ外の世界にいたころ、金曜ロードショーで見たアニメに出てくる王蟲の大群を思い出す光景だ。 やがて赤ちゃんゆっくり霊夢は見事に箱の前に辿り着いた。 が、しかしそこはやはりゆっくりブレインだった。 「ゆっ!? 中に入れないよ!!?」 そう、それが箱である以上、壁の内側に入れないのは当然なわけで。 ようやく姉妹の所に戻れてほっとしたのも束の間、赤ちゃんゆっくり霊夢は涙目で壁に体当たりを始める。 「いれて! そのなかにいれてよ!」 「ゆゆっ、はいれないの!?」 「どうすればいいの!!?」 身体に似合わない滂沱の涙を流しながら、身体を寄せ合うゆっくりの姉妹。 だけどその間は境界を分かつ絶対的な壁が存在し、まるで天国と地獄の様相だ。 そうこうしているうちに、とうとう痺れを切らした一匹の虫が、赤ちゃんゆっくり霊夢にかぶりついた。 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅっ!!?」 悲鳴。 齧られたのは表面を少しだけ。だが黒い餡子がちょっとだけ漏れ出る。 それまで外の姉妹を何とかしようと壁に張り付いていた赤ちゃんゆっくりたちは、その光景にドン引きしたかのようにゆっくりらしくない素早さで後退した。 「ゆ゛っ!? い゛がな゛い゛でぇぇぇ!!!」 心の支えであっただろう姉妹の身体が遠く離れてしまったことに、赤ちゃんゆっくり霊夢は絶叫する。 そんなゆっくりに追い討ちをかけるように、他の虫たちも赤ちゃんゆっくり霊夢に群がり、ほんの少しずつ咀嚼する。 仲間意識があるのだろう、統率された虫たちの行動は訓練された兵隊のように澱みなく、抜け駆けして丸呑みしようとする虫一匹現れない。 仲間たちにきちんと行き渡るよう、一度噛み付いたらすぐに離れ、別の虫に場所を譲る。 だが赤ちゃんゆっくり霊夢からしてみれば、これ以上ないくらいの嬲り殺し、永遠に続くかのような拷問だった。 「れ゛いむ゛のあ゛んこだべな゛い゛でぇ゛ぇぇ!!! ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉっ!!!」 聞いてるこっちまで痛みが伝わるような慟哭。 箱の中で震える赤ちゃんゆっくりたちは、涙に塗れた瞳を母親へと向ける。 「おかあさん、はやくしてね!」 「いもうとをたすけてね!!!」 だがゆっくり魔理沙は、青ざめた顔で動かない身体の代わりに眼を忙しなく震わせるだけだった。 「さ、さんかいめでじゅうはちひき、よんかいめで……ゆーっ!! よんかいもできないよぉぉぉ!!!」 発情したゆっくりアリスの幻影でも浮かんでいるのか、イヤイヤするようにその身体を揺り動かす。 虫たちの餌になっている赤ちゃんゆっくり霊夢は、既に身体が半分になっていた。 「ゆっくりしたけっかがこれだよ……」 そして、トドメなのだろう。 壁際から虫たちの中心に運ばれた赤ちゃんゆっくり霊夢は、虫たちに一斉に飛び掛られ、その短い生涯を終えた。 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!!!!!」 今際の際の悲鳴。 どれだけ苦しかっただろうか。 まだ生きたかっただろうに。 またも姉妹を失った悲しみに、赤ちゃんゆっくり霊夢たちは声を上げて泣いた。 そこに間髪入れず、俺が囁く。 「あーあ、またお前たちのお母さんは答えられなかったな」 びくり、と赤ちゃんゆっくりたちの身体が震える。 「答えられたら、あのゆっくりもお前たちと再会出来てたのになぁ。虫に食べられることなく、お前たちとゆっくり出来たのになぁ。お母さんが問題に答えさえしてればなぁ……」 成人したゆっくりだったら、そもそも先程の赤ちゃんゆっくり霊夢を虫たちの中に放り込んだ俺を糾弾していたかもしれない。 だが未だ幼稚な頭脳しか持たないゆっくりたちは、俺の言葉に見事なまでに惑わされ、ふつふつと母親への怒りを充填させていく。 「ひどいよおかあさん!」 「おかあさんがれいむのかわりにしねばよかったのに!!」 「おかあさんはゆっくりしないでしんでね!!!」 昨夜よりも激しい母への憎悪の発露。 あまりに理不尽すぎる状況と、それでも回答出来ていたら子供は助かっていたはずという罪悪感で、ゆっくり魔理沙は狂ったように泣き叫ぶ。 「や゛め゛でぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇっ、お゛があ゛ざん゛にぞんな゛ごどい゛わ゛な゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇ!!!」 ゾクゾクゾクゾク!!! 背筋に走る衝撃。全身を包み込む恍惚感。 ゆっくりが泣く姿は、どうしてこう、俺に充足感を与えてくれるかなぁ!? 心の内より溢れて垂れ流さんばかりのこの感情を何と呼べばいいのだろう。やはり萌えだろうか。 俺は笑いを抑えることが出来なかった。 一息つき、虫たちが帰ったところで朝食の準備に取り掛かる。 台所から立ち上る香ばしい匂いを呼吸用の穴から嗅ぎ取ったゆっくりたちは、涎を垂らして俺に催促し始めた。 「ゆっくりたべさせてね!」 「おなかすいたよ!」 「たくさんちょうだいね!」 やれやれ、さっき家族が死んだばかりだというのに切り替えの早い奴らだ。 俺は人間二人分の料理を完成させると、一つはテーブルの上に乗せ、もう一つを半分にしてゆっくり霊夢の箱の中に入れた。 ゆっくり霊夢の箱は大きいので、箱の中でそのまま食事をすることが可能なのだ。 ゆっくり霊夢は何か言いたげに俺を上目遣いに見つめていたが、結局無言のまま料理に口をつけ始めた。 頭のいい奴。だから大好きなんだ。 そしてもう半分を床に置き、米粒を五粒だけ掴むと、赤ちゃんゆっくりの箱の中に投げ入れた。 「ほら、朝食だぞ」 「ゆっ、すくないよ!?」 「もっとたくさんちょうだいね!」 目の前にお腹いっぱいになれるだけの料理があるのに、何故これっぽっちしか貰えないのか。 空腹を抱えた赤ちゃんゆっくり霊夢たちはゆーゆー文句を言って飛び跳ねる。 俺はその声を無視して、ゆっくり魔理沙の箱に近付いた。 相変わらず大きさが不釣合いの箱の中に押し込められたゆっくり魔理沙は、息苦しそうに呻いている。 顔面を変形させ、いつもの小生意気な顔から今にも屋上から飛び降りて自殺するいじめられっ子のような弱々しい顔をしたゆっくり魔理沙は、相変わらず俺の心を掴んで放さない。 しばらく眺めていたい衝動に駆られるが、そこはぐっと我慢。 箱に顔を近づけ、赤ちゃんゆっくりたちに聞こえない程度の声量で、そっと耳打ちする。 「今からお前を箱から出してやるが、もし妙な真似をしたり何かおかしなことをしゃべったりしたら、お前ら全員加工所送りにしてやる」 「ゆっ……」 「妙なことさえしなければ、ちゃんと朝食を食べさせてやる。分かったなら二秒間だけ目を閉じろ」 ゆっくり魔理沙は数瞬視線を彷徨わせた後、言われた通り目を閉じた。 よしよし、計画通り。 俺はゆっくり魔理沙を箱から出してやった。 窮屈な箱から解放され、ゆっくり魔理沙はしばらく床を跳ね回る。 「すっきりー!」 だが、すぐにハッとした様子で、慌てて赤ちゃんゆっくりたちの元へ向かおうとする。 「おっと」 だが俺はゆっくり魔理沙の頭を掴み、それを阻止する。 「ゆ、ゆーっ!!?」 何をするんだ、と言わんばかりに俺に講義の視線を向けるゆっくり魔理沙。 しかし俺が加工所、と小声で囁くと、すぐに大人しくなった。 「さぁ、朝食の時間だ。たんとお食べ」 俺はわざわざ赤ちゃんゆっくりたちの前に置きなおした朝食の前に、ゆっくり魔理沙を持ってくる。 野菜炒めや焼き魚など至って普通のメニューではあるが、ゆっくりにとって野生にいたころからは考えられないご馳走だろう。 ゆっくり魔理沙にとって――勿論、赤ちゃんゆっくり霊夢にとっても。 「おかあさんだけそんなにいっぱい、ずるいよ!」 「れいむたちにもわけてね!」 予想通り、何も貰っていないも同然の赤ちゃんゆっくりたちが俄かに騒ぎ出す。 ゆっくり魔理沙はおろおろした様子で、俺を見上げた。 「ま、まりさはいいから、このごはんは赤ちゃんにあげてね!」 「駄目だ」 しかし、俺はぴしゃりと遮る。 「お前が全部食うんだ」 「で、でも」 「さもないと……」 ゆっくり魔理沙は慌てて食べ始めた。 最初は遠慮がちだったが、やがてゆっくりとしての本能が現れ始めたのか、 「うっめ!!! メッチャうっめこれ!!!」 と下品にがっつき始める。 それを見て不満が出てくるのが、無論赤ちゃんゆっくりたちである。 自分たちはこれだけしか食べてないのに、何故お母さんはあんなに食べられるのか? 自分たちの姉妹を見殺しにした母だけが、何故!? 憎悪と殺意が満ち満ちた視線で、己の母親を睨みつける。 「なんでれいむたちにごはんくれないの!!?」 「ゆっくりできないよ!!!」 「ゆっくりできないおかあさんはしねっ!!!」 「「「ゆっくりしねっ!!! ゆっくりしねっ!!!」」」 「ぞん゛な゛ごどい゛わ゛な゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇっ!!!」 謂れの無い中傷を浴びて、ゆっくり魔理沙は大泣きしながら子供たちの下に駆け寄ろうとする。 だけど俺がきっちりガード。言うこと聞かなかったお仕置きとして、赤ちゃんゆっくりたちから見えない角度でゆっくり魔理沙の背の皮を抓り上げた。 「ゆ゛ぐぅぅぅっ!!?」 「そのまま食事を続けろ。それと、食べ終わったら子供たちに向かって今から俺が言う台詞を言うんだ。いいか――」 「――ゆっ!? そんなこと言えないよ!!!」 「じゃあ、全員加工所送りだな」 「……」 ゆっくり魔理沙は気落ちした様子で、食事を再開した。 止まらない、子供たちからのブーイング。誤解を解くことの出来ないこの状況、親としてどんな気持ちで受け止めているのだろうか。 昨日まで、この家族は幸せの中にいたのだろう。 家族全員でゆっくり出来る、素晴らしい毎日を過ごしていたに違いない。 それが、今ではどうだ。 子供七匹のうち二匹が死に、しかもその責任を負わされ、弁解するチャンスもない。 ゆっくりが、ゆっくりすることが不可能なこの状況。 最高だ。 ゆっくり魔理沙は朝食を食べ終わると、赤ちゃんゆっくりたちのほうを振り向いた。 数秒、躊躇する。 だが俺が少し手を動かすそぶりを見せると、諦めたのか、早口に捲し立てた。 「美味しかったよ! れいむたちはそこでゆっくり餓死していってね!」 「――っ!!!」 怒りを覚えながらも、それでも心の片隅で、信じ続けていたお母さん。 赤ちゃんゆっくり霊夢たちの中で、その信頼という形が、ガラガラと音を立てて崩れ去るのが、俺にもハッキリ伝わった。 「ゆっ……ゆ゛っ……!!!」 「ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉっ!!!」 「な゛ん゛でぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉぉぉっ!!?」 「お゛があ゛ざんな゛んでも゛う゛おがあ゛ざん゛じゃな゛い゛よぉぉぉ!!!」 「ゆ゛っぐり゛じな゛い゛でじん゛でね゛っ!!!」 「も゛う゛がお゛も゛み゛だぐな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉっ!!!」 怒号。悲鳴。絶叫。 ありとあらゆる不の感情の放出。 そしてそれに晒される、ゆっくり魔理沙。 「あ゛っあ゛あ゛ああああ゛あ゛あああ゛あ゛あ゛ああああ゛あ゛ああ゛あ゛あああ゛あ゛あぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁ゛ぁ゛ぁぁぁ゛ぁぁぁ゛ぁ゛ぁぁっっっ!!! 一生分とも呼べそうな涙を流し、身を引き裂かれるような心の苦痛でじたばた暴れまわる。 きっと、伝えたいのだろう。 自分が親として、どれほど子供を愛しているのか。 子供が死んでしまったとき、どれだけ哀しみを共有したかったのか。 だけど、言えない。 言ったら、それこそ全てが潰える。 伝えたい、だけど伝えられない、極限のもどかしさ。 「――!!!」 これだ。 俺が求めていたものは。 俺が見たいのは『必死』なゆっくり。 そしてこのゆっくり魔理沙は、他のどのゆっくりも、究極的に『必死』だった。 その後、俺は加工所に赴き、『あるもの』を入手してきた。 その正体は後ほど披露するとして、その前に仕込みをしておかなければならない。 俺はお菓子を与えることを条件に、赤ちゃんゆっくり霊夢たちの生まれた順番を教えてもらうことにした。 そしてその順番通り、赤ちゃんゆっくり霊夢のリボンにマジックで番号を振る。 「ゆゆっ!? れいむのりぼんにいたずらしないでね!」 とか言われたけど無視。 ちなみに最初に死んだのは六女、先程虫に貪られたのは四女らしかった。 現在、箱の中には赤ちゃんゆっくり霊夢1、2、3、5、7の五匹が身を寄せ合って「ゆっくりできないよ!」と騒いでいる。 ゆっくり魔理沙はまた狭い箱の中に閉じ込めた。ご飯をたらふく食べた分体積が増えたので、苦しさが増したようだった。 ゆっくり霊夢は他のゆっくりたちを助けるよう呼びかける声が五月蝿くなってきたので、申し訳ないと思いつつも猿轡を噛まさせてもらった。 後で好物のハンバーグを食べさせてあげるから許して欲しいところである。 「さて、と」 どうせなら、全部奇数にしてみるか。 俺は2の番号が書かれた赤ちゃんゆっくり霊夢を摘み上げた。 「ゆーっ!?」 「おねえちゃーん!」 「お、おにいさん、おねえちゃんをゆっくりはなしてね!」 姉妹たちがぴょんぴょん飛び跳ねて阻止しようとするが、赤ちゃんゆっくり霊夢2は既に俺の手の中だ。 いや、しかし冷静に見てみるとやっぱり可愛いよなこいつら。家を荒らさなければ思いっきり愛でてやったのに。 俺は赤ちゃんゆっくり霊夢2を床に降ろすと、加工所からの帰り道で拾った木の枝に糸と爪楊枝を結びつけただけの即席釣竿を構える。 そして赤ちゃんゆっくり霊夢2のリボンを解くと、素早く爪楊枝に結びつけた。 「ゆっ!? れいむのりぼんかえしてね!」 ゆっくりにとって、付けている装飾品を奪われることは死活問題に繋がる。 人間にとってゆっくりたちが身に付けている装飾品はただ食べられる素材で出来た食品に過ぎないが、ゆっくりたちにとって装飾品は固体を区別するための重要な機能らしい。 装飾品を奪われたゆっくりは目の前で奪われたのを目撃された場合のみを例外として、大抵ゆっくりたちから『ゆっくり出来ない存在』として忌み嫌われることになる。 理由はよく分からないが、そういうものらしい。 たとえ親兄弟だろうと、装飾品を奪われたゆっくりはその時点で『他人』となり、場合によっては暴力を振るわれることすらある。 だからゆっくりたちは装飾品に触れられることを嫌がり、取られた場合は取り返すために躍起になり、酷い時は他のゆっくりの装飾品を奪うこともあるという。 ちなみに死んだゆっくりの装飾品はその時点で死臭のようなものが漂い、身に着けてもすぐにバレるらしかった。 まったく、ゆっくりの生態はワケが分からなくて興味深い。 「かえしてね! ゆっくりかえしてね!!」 赤ちゃんゆっくり霊夢2はジャンプして爪楊枝に結びつけたリボンに食いつこうとするが、俺はギリギリのところで枝を固定しているため、届かずに落下してしまう。 「ゆ、ゆーっ! とどかないよ、どうしてー!?」 無駄な努力だと気付かず、半泣きでリボンに飛び掛る赤ちゃんゆっくり霊夢2。 うはー、かーわえー。 今俺の中では今すぐリボンを返して慰めたい気持ちとこのまま必死なゆっくりを観察したい気持ちが大体4 6くらい。 別にゆっくりが憎くてこんなことしてるわけじゃないしな。 ゆっくりは普通に可愛いと思う。 そして可愛いからこそ、こうして悪戯をしたいと思うのだ。 「ほらほら、どうしたー? もう少しで届くぞー」 「いじわるしないでかえしてね!」 息を切らしながらも、それでも死活問題なので意味の無い苦労を重ねる赤ちゃんゆっくり霊夢2。 姉妹ゆっくりたちも、その光景を固唾を呑んで見守っている。 目の前でリボンを取ったから一応姉妹だということを認識しているらしい。このままリボンを取り返せなかったら姉妹扱い出来なくなるから頑張って欲しい、といったところか。 ゆっくり魔理沙は体積が大きくなった分、箱の中の酸素が薄くなってしまったからか、とても息苦しそうだった。 おっと、これはいかん。 俺はゆっくり魔理沙の箱の蓋を開き、ゆっくり魔理沙の口が蓋側になるよう調節してやった。 「ゆ?」 困惑した様子で俺を見つめるゆっくり魔理沙。助けてもらえたのは嬉しいが、何故お兄さんがそんなことを、といった表情だ。 俺はにこりと微笑むと、爪楊枝からリボンを引き抜き、呼吸のために大きく口を開けていたゆっくり魔理沙の口内に放り込んだ。 「ゆっくり!?」 慌てて吐き出そうとするゆっくり魔理沙を押さえつけ、口が箱に押し付けられるような位置に調整し直す。箱内部はキツく狭いので、これで口を開くことは出来まい。 そして俺は一連の光景を呆然とした様子で眺めていた赤ちゃんゆっくり霊夢に、わざとらしいくらい大袈裟に言った。 「わー、お前のお母さん、お前のリボン飲み込んじゃったぞ!」 「ゆっ!? ……ゆっ……」 「リボンを失ったゆっくりがどうなるか、勿論お前のお母さんが知らないわけないよなぁ? つまり、お前のお母さんは、知っててわざと飲み込んだんだな!」 「んーっ、んんーっ!!?」 違うよ、間違いだよ、といった風に身体を小刻みに揺らすゆっくり魔理沙。己の口で俺の言い分を否定したいに違いない。 リボンを外して口に入れたところをちゃんと目撃したよね、と言いたいのだろう。 だが、赤ちゃんゆっくり脳の単純さを侮ってはいけない。既に母への信頼が0になっていたところに、俺の言葉が乾いた大地に落とした水のように染み渡ったのだ。 赤ちゃんゆっくり霊夢2にとって、俺はもう眼中に入っていない。こいつにあるのは『母が自分のリボンを食べた』その一点だけだ。 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅう゛う゛うう゛ううう゛うぅぅ゛ぅ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅう゛うぅ゛ぅ゛ぅぅぅ!!!」 赤ちゃんゆっくり霊夢2は涙と共に絶叫を上げ、ゆっくりにあるまじき凄まじい怒りの表情で母の入った箱に体当たりを仕掛けた。 「ひどい゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉ!!! ゆ゛っぐり゛じね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇぇ!!!」 壁に当たって跳ね返っても、また果敢に体当たり。 ゆっくりとしてのアンデンティティを奪った相手を完全に抹殺しようとする、野生の生物としての本能。 憤怒。憎悪。殺意。 そしてそれらの悪感情を一心に浴びせられるのは、 「ん゛んっん゛ん゛ん゛ん゛んんんっー!!!」 今までこの赤ちゃんゆっくりを愛情込めて育て上げた母、ゆっくり魔理沙だ。 これまでの遠くから罵声を浴びせられる、ある意味まだ余裕があった間接的攻撃と比較して、これは直接自分を害しようとする行為を見せ付けられる最上級の拷問だ。 嗚呼、このゆっくり魔理沙の絶望と傷心と阻喪の入り混じったこの表情をカメラに保存して一生残しておきたいっ! 人はこのゆっくり魔理沙を哀れに思うだろうか。 でもしょうがないよね。 悪いことしたのはあっちだし。 この状態で赤ちゃんゆっくり霊夢2が家から逃げ出そうとすることはないだろう。 そう考えた俺は、一旦家の外に出ることにした。 扉の横には、加工所で購入した大小二つの箱が置いてある。 俺はそのうち、小さな箱を手に抱えた。 大きさは掌に収まるサイズ。 遠目から見れば結婚指輪を収納するアレに似ているかもしれない。 もっとも、中に入っているものはそんな幸せアイテムとは似ても似つかないものなのだが…… 「ゆ゛っぐり゛じな゛い゛でじね゛ぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇ!!!」 扉を開けて家に戻ると、まだやっていた。 昨夜から今に至るまでで、ゆっくり魔理沙の精神はどれだけ磨耗しただろうか。 虚ろな眼でただ虚空を眺めているだけの生物になりかけている。 これ以上は危険だな。 破壊してしまっては面白さが半減どころの騒ぎではない。 まだ赤ちゃんゆっくりはたくさんいるのだ、これが終わったら少し休憩にしよう。 俺は体当たりを続けている赤ちゃんゆっくりを摘み上げ、その身体に糸を巻きつけ始めた。 身体を縛るロープ代わりである。 「ゆっ!? はなしてね!」 赤ちゃんゆっくり霊夢2は俺の手からぴょんと逃れて離れようとするが、糸の長さまでしか遠くに行くことが出来ない。 糸がぴんと張ったところで無様にぶしゃっと床に潰れ、ゆーゆー泣き始めた。 「それじゃ、ご開帳っと」 糸の先を左手の小指に巻きつけ、俺は外から持ってきた箱を開けた。 中に入っているのは、 「ちょっと、とかいはのありすをはやくだしなさいよね!」 生後まだ二週間にも満たない、赤ちゃんゆっくりアリスである。 大きさは赤ちゃんゆっくり霊夢2よりほんの少し大きな程度。 俺はその赤ちゃんゆっくりアリスの身体に、赤ちゃんゆっくり霊夢2と同じように糸を巻きつける。 「な、なにするのよ、ゆっくりできないじゃない!」 ぶーぶー文句を垂れる赤ちゃんゆっくりアリス。 だけど俺が用があるのはプライドの高い普通のゆっくりアリスではなく、他のゆっくりから恐れられている性欲魔人としてのゆっくりアリスである。 俺は糸の先を今度は右手の小指に巻きつけると、赤ちゃんゆっくりアリスの身体を人差し指で揺すり始めた。 「ちょ、ちょっと」 最初は嫌がって離れようとする赤ちゃんゆっくりアリス、だが次第に熱を帯び始め、呼吸が荒くなっていく。 ゆっくりを発情させることはゆっくり霊夢にやってあげているので日常茶飯事だが、発情しがゆっくりアリスの様子はゆっくり霊夢のそれとは大分違っていた。 口元のゆるみっぷりは半端無く、熱も溶けるんじゃないかってくらい上昇している。息も荒く、重い病気にかかった人間のようだ。 そして何よりも、目がヤバい。白目の部分を血走らせ、獲物を探して右往左往している瞳の動きは、はっきり言って気持ち悪いを通り越して、怖い。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ!!!」 指を離そうとしたら、物凄い勢いで擦り寄ってきた。俺の指を孕まそうとしてるんだろうか。 俺は若干の恐怖を感じながら、赤ちゃんゆっくりアリスを箱から出して床に降ろしてやった。 すっかり発情した赤ちゃんゆっくりアリスの視線の先には、先刻から繋がれた糸をどうにかしようとぴょんぴょん飛び跳ねていた、赤ちゃんゆっくり霊夢2の姿。 「れ、れれれ、れ゛い゛む゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅ!!!」 「ゆ、ゆゆっ!!?」 とても成熟していない赤ん坊とは思えぬ素早さで赤ちゃんゆっくり霊夢2に襲いかかろうとする赤ちゃんゆっくりアリス、赤ちゃんゆっくり霊夢2はその剣幕にビビって逃げ出そうとする。 ピン。 「ゆべっ!?」 糸が最大限まで張り詰められ、赤ちゃんゆっくり霊夢2は勢いよく転倒する。 その間に距離を詰める赤ちゃんゆっくりアリス、その口からはご馳走を前にした獣のように涎が溢れまくっている。 「が、がわ゛い゛ぃい゛い゛いよ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉ゛ぉぉれ゛い゛む゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 「ゆーっ!?」 まさに絶体絶命、赤ちゃんゆっくり霊夢2が慄いて悲鳴を上げる。 赤ちゃんゆっくりアリスは狂気の目で、赤ちゃんゆっくり霊夢2に飛び掛った。 「り゛ぼん゛の゛な゛いれ゛い゛む゛もぞう゛じゃな゛いれ゛い゛む゛もあ゛り゛ずの゛ごども゛をう゛ん゛でぇぇぇぇぇぇ!!!」 ピン。 「れ゛い゛っむ゛ぐぅ゛!?」 しかし、ギリギリの位置で糸が届かず、赤ちゃんゆっくりアリスも転倒してしまった。 「ど、どう゛じでぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇ!!? ごう゛びざぜでよ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉ!!?」 涙を溢れさせながら、それでも相手を孕ませるために前に出ようとする赤ちゃんゆっくりアリス。赤ちゃんゆっくり霊夢2からすれば、恐怖以外の何者でもない。 「さて、今こうして俺が糸を持っているから、均衡が保てているわけですが」 俺は奇妙な静止状態に陥った空間に、静かに言い聞かせるように告げる。 「俺がこうして少しでも糸を緩めると」 言いながら、赤ちゃんゆっくり霊夢2の糸を結びつけた小指を少しだけ前に出してやる。 「ゆっ、はなれたよ!?」 その分糸にゆとりが出来、赤ちゃんゆっくり霊夢2は危機からほんの少しだけ遠ざかることになった。 ゆっくりアリスは歯をギリギリ食いしばって悔しがっている。怖っ! 「逆にこっち側の糸をゆるめると」 今度は右手を前に。 すると赤ちゃんゆっくりアリスを押さえつけていた糸が緩み、ゆっくりアリスは猛牛のような勢いで赤ちゃんゆっくり霊夢2に接近する。 最初の時に比べてかなり近付いており、吐く息がお互いに届くくらいだ。 だけどくっつくことはかなわない。流石俺、ナイス調節。 「こうなるわけだ」 「や、やめてね! ありすのいとをゆるめないでね!」 赤ちゃんゆっくり霊夢2が涙声で俺に訴えかける。 当の赤ちゃんゆっくりアリスは既に相手を妊娠させること以外頭にないのか、俺の言葉が耳に届いていないようでハァハァ言いながらじっと赤ちゃんゆっくり霊夢2だけを見つめていた。 こいつ本当に赤ちゃんなのか? まったく、ゆっくりアリスという種族は末恐ろしい。 「では、ここで問題です」 俺は膠着状態に陥った二匹をしばらく観察した後、足で器用にゆっくり魔理沙の入った蓋を開けた。 そのまま足先でゆっくり魔理沙の身体を回転させ、口をしゃべれる位置にまで持ってきてやる。 勿論、ジャンプして逃げられないように押さえつけるもの忘れていない。 「ゆっくり魔理沙が答えられたら赤ちゃんゆっくり霊夢の糸をゆるめてあげます。間違えたなら赤ちゃんゆっくりアリスの糸をゆるめてあげます」 「ゆ……」 ゆっくり魔理沙はまたか、とでも言うように眉を顰めた。 だけど娘の命がかかっている。どうせ選択権もないし、やらざるを得ない状況だ。 ゆっくり魔理沙は何か言おうと口を開きかけ、 「やめてよね!」 と、怒りの篭った声が割り込み、口を噤んだ。 驚いてそちらを見ると、そこには赤ちゃんゆっくりアリスから少しでも離れようと身体をひしゃげながら、母に敵意を向ける赤ちゃんゆっくり霊夢2の姿があった。 「おかあさんがこたえたられいむしんじゃうもん! ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「そ、そんなことないよ! おかあさんはれいむのために」 「だまっててね!」 キッ、とキツい視線を浴びせられて言葉を詰まらせるゆっくり魔理沙。 やがて、じわじわとまた涙が溢れ出してくる。 「ど、どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉ!!?」 「おかあさんがいるとゆっくりできないからだよ! おかあさんはゆっくりしね!」 吐き捨てるような口調。 今まで黙ってことの成り行きをハラハラと見守っていた他の赤ちゃんゆっくり霊夢たちも、賛同したように口を揃えて非難の声を上げた。 「そうだよ、おかあさんはゆっくりしね!」 「いもうとをかえしてね!」 「おかあさんのせいでぜんぶこうなったんだ!」 「おかあさんはもうゆっくりしなくていいよ、ゆっくりしないでとっととしんでね!」 リボンを失って少し時間が経過したゆっくりより、子供を裏切った母への怒りのほうが大きいようだった。 ここに、ゆっくり魔理沙の味方は一人もいない。 そろそろ『そんなれいむたちはまりさのこどもじゃないよぉぉぉ!』とキレるかと思いきや、俺が思ってた以上にゆっくり魔理沙はあくまでも母親だった。 「はやくもんだいだしてね!」 罵声の雨の中、それでも我が子を守ろうとするゆっくり魔理沙の姿に、俺はちょびっとだけ感動してしまった。 まぁ、全員助かった後で説明したらきっと分かってもらえるだろうという、ご都合脳なだけなのかもしれないが。 でも心を動かされたのは事実なので、問題は簡単なやつにしてやろう。 「では問題。答えは簡単、身体が弱くて喘息気味のゆっくり種といえば何でしょう?」 「ゆっ! 答えはぱちゅりーだよ!」 自信満々の回答。余程答えに間違いがないと確信しているのだろう。 ゆっくり魔理沙は今までの陰鬱な雰囲気はどこへやら、明るい表情で「さあ、赤ちゃんをたすけてね!」とのたまっている。 赤ちゃんゆっくり姉妹も、そんな母親を驚いた、だけど少し誇らしげに見つめていた。 やはり、母は母だったのだ、と。 俺はふっと笑い、 「ぶー、残念外れです」 僅かに見えた希望という光を問答無用で叩き潰した。 「な、なんで!? からだが弱いゆっくりはぱちゅりーしかいないよ!?」 納得出来ない様子のゆっくり魔理沙が俺に抗議の目を向ける。 俺はこの場にいる全ゆっくりに聞こえる大きさで、正しい解答を発表する。 「問題はちゃんと聞こうな。最初に言ったじゃないか。『答えは簡単』って。だから答えは『簡単』だよ」 「……ゆっ!?」 そんな馬鹿な話があるか、といったゆっくり魔理沙の表情。 何か変なことを言う前に、俺はまた芝居がかった声を出した。 「本当に赤ちゃんを助けるつもりがあったのなら、ちゃんと答えられたはずなんだけどなぁ。やっぱり赤ちゃんなんてどうでもいいから、助ける気なんてさらさらないんだね!」 「ち、ちがうよ! まりさは」 「はい、罰ゲーム!」 俺はゆっくり魔理沙が言い切る前に、右手の糸を緩めた。 今までお預け状態で気が狂いそうなほど我慢を強いられていたゆっくりアリスの枷が外れ、嬉々とした様子で赤ちゃんゆっくり霊夢2に飛びつく。 「ゆ゛ーっ!!!」 赤ちゃんゆっくり霊夢2は逃れようとするが、そちらの糸は緩めていないので、逃げ場はない。 「はぁはぁはぁ、れ゛い゛む゛ぅぅぅ、がわ゛い゛い゛ごをだぐざんづぐろ゛う゛ね゛ぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇ!!!」 「や、やだよ! れいむはまだあかちゃんなんてつくれないよぉぉぉぉぉ!!!」 「あ゛あ゛っあ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁっい゛い゛よ゛おおぉぉぉぉぉぉれ゛い゛む゛うううぅぅぅぅぅぅぅんほぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆ゛ーっ! ゆ゛っぐりや゛め゛でぇぇぇぇ!!! ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 激しい律動。 赤ちゃんゆっくりアリスは摩擦で燃え上がるんじゃないかと心配になるくらい自分の身体を赤ちゃんゆっくり霊夢2に擦りつけ、赤ちゃんゆっくり霊夢2は涙をぼろぼろ流して逃れようとしている。 押し潰して殺してしまわないよう、成長したゆっくりアリスではなくその子供を連れてきたわけだが、そのゆっくりを押さえつける力は親にも引けをとらない 自分が気持ちよくなれば相手はどうなってもいいという身勝手な性行為。 元となったアリスさんとまったく似ても似つかぬ(まぁ、ゆっくりの大半は元の人物と似てないんだが)横暴さに、少し気分が悪くなってきた。 涙目で必死に逃げようとする赤ちゃんゆっくり霊夢2は可愛いんだけどね。 他の姉妹たちはその光景を見て、「はやくにげてね!」「おねえちゃんにへんなことしないでね!」と騒いでいる。 ゆっくり魔理沙は子供を助けようと、俺の足の下でもがいていた。 そうこうしてるうちにやがて快楽の頂点に達したのか、赤ちゃんゆっくりアリスは感極まった声を上げた。 「イグッイグよ゛おおぉぉぉぉれ゛い゛む゛うううぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 「や゛だぁぁぁぁイギだぐな゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、……すっきりー!」 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」 一際大きな声を上げたと思ったら、ゆっくりアリスはぶるっと一瞬震え、そして満ち足りた表情で身体を離した。 赤ちゃんゆっくり霊夢2は壮絶な表情で固まっている。 やがて、にょき、と赤ちゃんゆっくり霊夢2の頭から蔦が伸び始め、植物界の常識を覆す速度で実を生らせた。 しかし、本来は子供が生るべきその場所は、泥団子しか存在しない。 当然だ。成熟していないどころか、この世に誕生してまだ一週間以上経過していないゆっくりが、子孫を残すことなんて出来るはずもない。 赤ちゃんゆっくり霊夢2は苦痛としか形容出来ない表情のまま黒く朽ち果て、その短い命を終えた。 「ま゛りざのあ゛がぢゃんがあ゛あ゛あぁ゛ぁ゛ぁぁぁ!!!!!!」 ゆっくり魔理沙はまたもや子供を救うことが出来なかった悲しみで、何度目になるのか分からない涙を流す。 しかしそこに浴びせられるのは当然、 「なにうそのなみだをながしてるの!?」 「おねえちゃんをころしたのはおかあさんだよ!」 「かえして! おねえちゃんをゆっくりかえしてねっ!!!」 更に憎悪を増した子供たちからの罵倒の言葉だ。 先程、俺が言った言葉をまた思惑通りに受け止めてくれたらしい。 ゆっくり魔理沙はその言葉を聞いて、また悲しみに打ち震えて暴れだす。 俺はそんな光景に満足しながら、すっきりして落ち着いた様子の赤ちゃんゆっくりアリスを持ち上げ、残り四匹となった赤ちゃんゆっくりたちの箱の中に落とした。 「ゆっ!?」 予期せぬ闖入者、しかも相手は先程自分たちの姉妹を殺したばかりのゆっくり。 姉妹は警戒して距離を開くが、赤ちゃんゆっくりアリスがその辺を事情を知っているわけがなく。 「しょうがないから、あんたたちいなかもののゆっくりををとかいはのありすのおともだちにしてあげてもいいよ!」 とゆっくりアリス特有の上から目線で話しかける。 しかし、その言葉は姉妹の神経を逆撫でする結果にしたかならなかった。 ゆっくりアリスの丁度後ろに陣取っていた一番の長女、赤ちゃんゆっくり霊夢1が、まったくの無警戒の赤ちゃんゆっくりアリスのお尻に噛み付いた。 「ゆ゛ーっ!?」 突然の痛みに吃驚して悲鳴を上げる赤ちゃんゆっくりアリス、それが皮切りだったように、他の姉妹たちもゆっくりアリスに突撃した。 「ゆっくりしねっ!」 「や、やめなさいよ、やめでぇぇぇぇ!!!」 「ゆっくりしねっ、ゆっくりしねっ!!!」 「あ、あ゛り゛ずいな゛がも゛の゛でい゛い゛がら゛ぁぁぁぁぁ!!! だずげでえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 四方からのリンチにたまらず赤ちゃんゆっくりアリスが泣き叫ぶが、姉妹たちは聞く耳持たずに行動を続ける。 その様子を眺めながら、俺はゆっくり魔理沙の耳元にそっと囁きかけた。 「おやぁ、子供たちは赤ちゃんゆっくりアリスを殺すつもりだぞ? 止めなくていいのか?」 「ゆっ、ゆーっ!!!」 ゆっくり魔理沙はじたばた暴れるが、閉め直した箱が開くはずもなく、徒労に終わる。 ゆっくりがゆっくりを殺害することは禁忌だ。 例えどのような理由があろうと、ゆっくりがゆっくりを殺害すると他のゆっくりたちから何されようと仕方の無い状態になってしまうらしい。 だからもし他のゆっくりを殺さなければならない状況の場合、親が相手のゆっくりを殺害し、子供たちに非難が及ばないようにする。 それがゆっくりたちの流儀……らしい。 ちなみに性行為は殺害の範疇に当たらない。 「み、みんな、やめてね!」 ゆっくり魔理沙は子供たちを止めようとするが、興奮した子供たちにその声は届かない。 やがて赤ちゃんゆっくりアリスの皮が裂け、中のカスタードが漏れ始めた。 「……ゆっ!?」 漂い始めたいい匂いに、たまらず姉妹たちはごくりと唾を飲み込んだ。 朝は何も食べていないに等しく、一粒の米と少量のお菓子しか食していない空腹のゆっくりにとって、その香りはあまりに魅力的すぎた。 「お、おいしいよ、これ!」 「ひぎぃ!? ありすのかすたーどすわないでぇぇ!!!」 「ゆっくりたべるね!」 「あまくておいしいね!」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 空いた穴という穴からカスタードを吸われ、赤ちゃんゆっくりアリスが悲鳴を上げる。 だが段々力を失って悲鳴が小さくなっていき、そして脱力し、その場に崩れ落ちた。 絶命。 子供たちがゆっくりを殺してしまった光景に、ゆっくり魔理沙はただただ泣き叫ぶしかなかった。 そしてその表情を見て、俺はまだまだ満足するのだった。 残り四匹。 まだまだ快感を味わえる。 続く このSSに感想を付ける
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ゆっくりまりさが目を覚ますと、そこは木屑が敷かれた透明な箱の中であった。 箱の外は今までいた部屋が見える。自分たちが暴れ散らかっていたはずなのに、きれいに片付いていた。 体が何かに固定させられているのだろうか、バレーボール程の大きさであるまりさはその場から動けないでいた。 「まりさをゆっくりさせてね!!」 返事は返ってこなかった。仲間たちはどうしたのだろうか。 まりさは眠る前のことを思い出そうとしていた。 幻想郷は少しずつ寒さを感じさせる季節となっていた。 木々の葉が地に積もり、冷たい北風が幻想郷に吹き始めた。 ゆっくりまりさは、群れのリーダーとして引越しを決意した。 現在住んでいる洞窟は当初、以前の住人たちが貯えた食料があり、広さも申し分がなかった。 しかし順調にその数を増やし、成長し続けたゆっくりたちにはその蓄えは少なく、住居は狭く感じられた。 その数およそ40匹。 ゆっくりまりさとゆっくりれいむで構成された群れである。 「みんなでお引越しするよ!!」 「おひっこち! おひっこち!」 「ゆっくりれいむは、まいるーむがほしいよ!!」 「ゆゆゆ! ごはんをたくさん食べたいよ!!」 恋人や仲間、子供たちを率いてまりさは、新しい住居を探す旅に出ることを決意した。 今までの引越しはどれも成功しており、まりさには自信があった。 「きょうからここがまりさたちのおうちだよ!!」 道中、木々の根元や他のゆっくりの家を一時的なおうちにしながら、遂に雨風をものともしない新しい住まいに辿り着いた。 僅かに開いた隙間から中に入り込み、そこでまりさ達は歓声をあげた。 そこには今までに食べたことのないお菓子や食事が豊富にあり、見たこともない様々なものがあった。 何より、とても広く清潔な場所であった。 まりさはこの場所を今までで最高のゆっくりホームに感じられた。 そこは人間にとっても広く感じられる、板張りの居間であった。 まりさたちは洋風の家屋に忍び込んだのであった。 「ゆー! ここならゆっくりできるね!!」 「きょうからここは、まりさたちのおうちだね!!」 「あたたかいね! ぜんぜん寒くないよ!!」 「むこうからいいにおいもするよ!!」 ゆっくりたちは思い思いにゆっくりし始めた。 「うっめ! はっふはっふ! これめっさうめっ!」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 食事にありつくもの。 「おねえちゃんの絵をかいてあげるよ!」 「この中にお水が入ってるみたいだよ! 倒してみよう!」 筆や花瓶で遊びだすもの。 「んほおおおおおお! ゆ゙ゔゔゔゔんふぅぅぅぅ!」 「れ゙、れ゙いむ゙ぅぅぅぅんふぅう!」 発情しだすもの。 しかしある時全てのゆっくりが動きを止めた。 怒声が響いたためだ。 「ここはおにーさんとありすたちのおうちだよ!! ゆっくり出てってね!!」 まりさたちは声のした方向を振り向いた。 そこにはリーダーであるゆっくりまりさより少し小さなゆっくりありすがいた。 その影にはありすの子供だろうか、小さなありす5匹が隠れていた。 「ちがうよ! きょうからここはまりさたちのおうちになったんだよ!!」 「そうだよ! ぶがいしゃのありすたちはこのぷれいすから出ていってね!!」 「ゆっ、ばかなの!? あんこくさってるの!?」 一斉にまりさたちが喚きだす。 しかしありすは引き下がらない。 「もう一度だけ言ってあげるね! ここはおにーさんとありすたちのおうちだよ! ゆっくり出ていってね!」 そう叫ぶありすに、リーダーであるまりさは群れにも聞こえるよう言い放った。 「……おばかなありすは、ゆっくりしんでね!」 その途端、四方八方からまりさやれいむがありすに飛び掛っていった。 今までまりさたちは、住居と決めた場所にゆっくりがいた場合はこれを排除して群れを拡大してきた。 ここに辿り着くまでも、多くの住居とその蓄え、そして生活していたゆっくりの中身を喰らってきたのだ。 この集団は他のゆっくりにとっては強盗や猛獣の集まりと言えた。 「おかぁしゃん、こぁいよぉ……!」 「ゆゆっ! こ、こどもたちは逃げてね!!」 ありすは子供たちを逃がし、庇いながら自身の体に力を込め、弾丸のようにゆっくりたちに体当たりをしていった。 持ち前の気性か飼い主が鍛えていたためか、複数を相手にしてもまったく怯まない戦いをしていた。 しかし、子供に気遣いながらの一対多数の戦いの結果は日の目を見るより明らかであった。 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ぐ゙ゆ゙ぅ……、ありすとこどもたちをゆっくり放してね!!」 決着は早々についた。まりさは満足そうにありす達を見下ろした。 何匹かに押さえられ身動きが出来なくなったありすと、同じくありすの目の前で押さえ込まれている子供たち。 「お゙があ゙あ゙しゃぁぁん!! い゙だい゙よ! こわ゙いよぉ!!」 子供たちが口々に叫びだす。 「ありすはどうなってもいいから、こどもたちは助けてね!!」 ありすは子供たちのために嘆願をし始めた。 「ねーねー、まりさ! ゆるしてあげるのだめかな♪」 一匹のゆっくりれいむが、ありすを見下しながらリーダーであるまりさに尋ねる。まりさの恋人なのだろう。 ありすの子供たちを眺めながら、まりさは答えた。 「だめだよ♪」 そしてありすの子供である一匹に近づき、おもむろにその体に噛り付いた。 「や゙め゙でえ゛ぇ! い゙だい゙よ゙お゙おぉ!!」 「どうじでありずのごども゙にぞん゙な゙ごどずる゙の゙お゙お゙むぎゅ……!!」 悲鳴をあげる仔ゆっくりと絶叫しだすありす。後者は口を塞がれた。 まりさは齧った箇所からクリームを汚い音を立てながら吸いだしていく。 「ぢゅるぅ…ぢゅぢゅっぷ…うっめ! このありすのクリームめっちゃうめ!!」 「ずわ゙な゙い゙でぇぇぇ!! あ゙り゙ずのながみずわ゙な゙い゙でぅぅ……」 「んー……! んむむむむー!!」 「おねえぢゃああん!! おね゙え゙ぢゃんを吸わないでえぇ!」 中身を吸われ、声を出すことがままならなくなる仔ありす。 ソフトボール程の大きさであった体がみるみる萎んでいく。 目の前の光景にありすは塞がれた口からうめき声をあげる。 吸われる姉を見て恐慌に陥るありす姉妹。 「ゆゆっ! れいむもありすを食べたいよ!!」「ゆっくり食べさせてね!!」「はっふはっふしたいよー!!」 「まりさも食べたいよ!!」「さいきんありす食べてないよー!!」「ぱちゅりーよりおいしいよね!」 「おかあさんだけずるいよ!!」「ゆっくり食べたいよ!!」「ゆっくり食べたいよ!!」 他のまりさやれいむ達が口々にありすを要求しだす。 これを見てリーダーまりさは皮だけとなった仔ありすを齧りながら言った。 「みんなで仲良く食べようね!!」 まりさ達の群れが他のゆっくりの巣を襲った時には毎回行われるイベントであった。 食べ物を要求する仲間と、それに応えるまりさ。 このゆっくりたちは恐怖でゆっくりの中身が旨くなることを知っていた。 それからはありすにとって地獄であった。 彼女の目の前で子供たちが少しずつ少しずつ喰われ、吸われ、削られていった。 「おがああじゃあああ!! いだい゙い゙い゙い゙いイィィィ!!」 「だじゅっ、げでっ、おがあしゃん! おがあ゙しゃん゙ぅぅ!!」 「だべないでぇぇ!! あ゙り゙ずをだべな゙い゙でぇぇぇ!!」 「どぼじでええ! おがあ゙しゃんたすけでぐれないのおぉぼ!!」 ありすはジタバタと自分を押さえ込んでいるゆっくりを振りほどこうとするが、背中を大きく齧られて動けなくなった。 調子に乗った他のゆっくりも、ありすの右側の眼球をえぐり、髪を引っこ抜いた。 「ん゙ー! む゙む゙ぐ! む゙ぐぅぅうう……!!」 絶命していく子供たちに何もできないことに、ありすは自身の無力さを呪った。 片目に涙を貯めながら自分を睨み付けるありすを眺めながら、まりさは順番に仔ありすたちにありつく仲間たちの嬌声を聞いていた。 何度も体を動かそうとしながら、まりさは思い出していた。 そうだ、ありすたちをいじめていたのだ。 それから一体何があったのだろう。どうしても思い出せない。 若干箱の壁に反射する自分の姿を見て、まりさは帽子ごと頭頂部からベルトで床に固定されていることを理解した。 しばらくして、背中側から足音が聞こえた。まりさのいる箱の方に向かってきた。 恐らく人間なのだろう。まりさの背中に何か呟くと、ようやく目の前に姿を現した。 「やあ、まりさ! ゆっくりしてるかい!」 若い男が手をあげて挨拶してきた。 ここはまりさたちのおうちなのに、どうしてこんな人間がいるのだろうか。 「ゆっ! おにいさんは誰なの!? ここはまりさたちのおうちだからゆっくり出ていってね!!」 「つれないことを言うなよ、まりさ! 動けないお前のために仲間たちを連れてきてやったのに」 そういって男は「よっこいしょ!」と大きな透明な箱を5つ、まりさの前に置いた。 どれもその中には仲間たちが入っていた。分けられて入れられているようだ。 箱の中のゆっくりたちは、このまりさに気付かない。何か特別な細工がされている箱なのだろう。 「ゆっ! どうしてまりさたちを箱の中に入れてるの! ゆっくり出してあげてね!!」 声は聞こえるのだろうか。他のゆっくりたちが「おかあしゃんのこえだ!」や「まりさが生きてた!」と喜びの声をあげる。 「いいかい、まりさ。これは都会派なら誰もが知るゆっくりVIPルームなんだよ! 特別にカワイイ君達を招待してあげたんだよ!」 言いながら男は何かを仲間たちのいる箱の中にバラバラと撒き始めた。どうやら食事らしい。 「ハフハッフ…うっめ! これめっちゃうめ!」「しあわせー♪」とそれを食べたゆっくりたちが騒ぎ出す。 男の言うことは本当かもしれない。これに気を許したまりさは自分にも食事を要求した。 「おにいさん! まりさにもおいしいものをちょうだいね!!」 男は5つの箱に餌を撒き終えてから、まりさのいる箱の前にやってきた。 動けないまりさの口元にお菓子を与えてやりながら、男はまりさに尋ねた。 ねぇ、まりさ? ここにいたありす達はどうしたのかな? と。 「ハフ…クッチャ…ここにいたありすたちは、生意気だからゆっくりころしてあげたよ!!」 男はまりさの言葉に頷きながら、質問を返した。 「子供たちがいたでしょ? あの子たちはどうやって殺したの?」 まりさは口いっぱいにお菓子を頬張りながら答える。 「ハッフクチャァ…あのね゙、まりさたちで少しずつ…ッング…齧ったり吸ったりしながらころしてあげたよ!!」 素直にまりさは答える。少し誇らしげな様子だ。 そしてまりさも質問を返した。 「ゆ! おにいさん、どうしてまりさは動けないの? ありすたちをいじめてたはずなのに?」 男は笑顔でこの質問に答えた。 「君達がそのありすをいじめてた時に、どうやら複数のれみりゃがやってきたらしくてね。 不意打ちをかけてみんなを気絶させてしまったようなんだよ。もちろん僕が追っ払ってあげたけどね」 ニコニコとまりさの背中をさすりながら続ける男。 「特に君はケガをしてしまったようだから、特別個室を用意して看病してあげているんだよ」 まりさは納得したのか、嬉しそうに男に言った。 「ありがとう、おにいさん! おにいさんは特別にまりさたちのおうちでゆっくりしてもいいよ!!」 無意識に跳ねようとしたためか、まりさはケガをしたという背中に一瞬痛みを感じた。 その背中をさすりながら、にこやかに男は言う。 「そうだね、まりさ。君達とゆっくりさせてもらうよ!」 それからまりさたちは男と暮らし始め、数日経った。 男は仲間たちに食事を与え、順番に箱から部屋に出しては遊ばせたり風呂に入れたりと世話をしてくれた。 まりさには怪我をしているからと、初めて会話をした日以外は砂糖水しか飲ませず、箱から出すこともなかったが不満を漏らさなかった。 男は存分に自分たちをゆっくりさせてくれているからだ。 「春までには箱から出れるよ」と、男は背中をさすりながら語りかけた。 実際、まりさは時間が経つにつれて、背中に違和感を感じることが多くなってきた。 自身の体に何が起こったのだろうかと一瞬不安になるが、ここでゆっくりすれば治るだろうとまりさは考えた。 「……ゆっくりうごけなく…なっていってね」 その日の夜、まりさは背後から何か聞こえたような気がしたが、そのまま眠りについた。 ある日、まりさは男を呼び止めて言った。 「おにいさん! まりさもみんなとお話したいよ!」 まりさは個室に入れられているため、自分の仲間や娘たちと会話をすることができないでいた。 「よし、あのれいむを箱の中に入れてあげるね!」 男が指さしたゆっくりは、自分の娘の一人であるゆっくりれいむだった。 「うん、おにいさん! ゆっくり急いでまりさのところに運んでね!!」 男はまりさの目の前にれいむを置いてやった。ソフトボール程の大きさのゆっくりだった。 「ゆゆ、れいむ、おかあさんの部屋でゆっくりしていってね!!」 「ゆー♪ おかあさんだ! ゆっくりできるよ!!」 久しぶりの親子の会話を弾ませる二匹。男はまりさの背中をさすりながらそれを眺めていた。 それから数分経って、男は仔れいむを持ち上げながらまりさに言った。 「どうだい? 満足したかい、まりさ! 明日から仲間たちを連れてきてあげるね!!」 それはまりさにとって嬉しい提案であった。 「うん、おにいさん! 明日もお願いね!」 仔れいむは「うわあ、おそらをとんでるみたい!」と、男と親であるまりさの会話を聞いていなかった。 男はまりさのいる箱から少し離れると、そのゆっくりの口にホチキスで小さな針を打ちつけた。 「んむむ! んむー!」と唸るゆっくりの頬の部分に今度は穴を開けた。 まりさに見られないよう、その背中に仔ゆっくりの穴が開いた部分を押し付けた。 「ゆゆ? おにいさん背中がけいれんするよ!」とまりさは自身の背後で行われていることに気付かずに声をあげる。 「痙攣しているのが見えたからまりさのために戻ってきて、背中をゆっくりマッサージしてあげているんだよ!」 まりさはそれに納得した。男が背中に何かを当ててから震えが止まったからだ。 男はまりさに「ゆっくりしていってね!!」と言い残すと、空いた両手で腕を組み、ゆっくり達のいる居間から出て行くと、自分とゆっくりたちの食事を鼻歌交じりに作り始めた。 その日の夜もまりさは、眠りにつきながら自分の背後で何かが囁く声を聞いたような気がした。 それから毎日、まりさの元に男は子供を運んできた。 砂糖水しか口に含めないことや、動けないことに不満はあったが、まりさは子供の会話や、背中のマッサージを喜んだ。 「おにいさんなら、ずっとまりさたちのいえに住んでいていいよ!!」 子供たちと話をするようになってから10日ほど経ったある日、まりさはふと気付いた。 目の前にあるゆっくりの仲間たちがいる5つの箱、その中にいるゆっくりの数が減っていることに。 それだけではない。うっすらと反射する自分を写す透明の箱の壁が、自身の背中が肥大していることをまりさに見せ付けた。 砂糖水しか飲んでいないのに、何故ここまで大きくなったのだろうか。 背中の痙攣も最近は頻繁に、そして強くなっていくことにまりさは恐怖を覚えた。 「ゆゆっ、おにいさん! まりさの子供たちが少なくなってるよ! それに背中も膨らんじゃってるよ!!」 まりさは子供との会話を終え、背中のマッサージを受けているときに切り出した。 「おにいさん! 今お話ししたれいむを連れてきてね!!」 まりさはうっすらと気付いていた。自分と話をしたゆっくりたちが消えているのではないかと。 男は顎に手をやりながらふむ、と唸ると「そろそろいいか」と呟き、まりさに答えた。 「それじゃあベルトを外してやるから、後ろを振り向いてごらん」 まりさを床に固定していたベルトが外される。 「君の後ろにみんないるから」 久しぶりに動くためか、背中が膨れてしまったためか、中々重たく感じる体をひねり、それを見た。 皮だけとなりペラペラとなったゆっくりたちが積み重なっていた。 どれも口は閉じられており、虚ろな目をしてこちらを覗き込むような顔をしていた。 一番上には、今さっきまで会話を交わした子供がペッタリとこの山にへばりついていた。 「ゆぅうぅううう!? どお゙じでみんな動かないのおおお!!」 まりさは目の前の状況が理解出来ず叫ぶ。 その声に他のゆっくりたちが反応するが、箱の中からではまりさの様子が伺えないため、不安そうな表情を見せた。 「それはね、まりさ! みんな君のマッサージのために中の餡子を提供してくれたから薄っぺらになっちゃったんだよ!」 男は手を大きく広げながらまりさに答える。 「ま゙り゙ざにもわがるようにおじえでね!!」 まりさは全く理解出来ずにいた。どうして、マッサージで子供のゆっくりたちがこのような姿にならなければいけないのか。 「それはね! 君の背中がこのゆっくりの中身を吸ってしまったんだよ! 10日ほど前からやってたじゃないか」 「言ってることがわからないよ! ゆっくりこの子たちをいきかえらせぶぎゅるぅ!!」 男はいきなりまりさを掴みあげると、その口をホチキスで塞いだ。 「ありす、痛かったかい?」と男は手の上に乗せたまりさに囁いた。 「まりさはありすじゃないよ!」と口にしたかったが、声に出せないまりさ。 しかし、信じられないことに自分の背中から声が聞こえてきた。 「大丈夫だよ、おにいさん! 我慢できるよ!!」 それにほっとしたような表情を見せ、男はしゃべりかけた。 「どうだい、ありす。体は動かせるか?」 それに背中の何かが返した。 「もう少しれいむやまりさを食べたら動かせそうだよ!」 まりさは愕然とした。自分の背中にいる何かが、子供達の中身を吸い出してしまったのだ。 男はそれを聞くと、箱の中にまりさを戻し、ベルトを締めなおした。 「そうだ、ありす! まりさに自分がどういった状況になっているかを見せてあげよう!」 「そうだね! ゆっくり見せてあげようね!!」 男は小型の背面鏡をまりさに見せた。 肥大化している背中に何が起きているのか。帽子を外され、その鏡を覗き込む。 まりさの後ろ髪が短く切りそろえられたそこには、ゆっくりありすの顔が貼りついていた。 まりさは声にならない悲鳴をあげた。 まりさ達がありす達をリンチし始めてから数十分後に男は家に帰ってきた。 それからすぐに、ゆっくり達が部屋を荒らしているのを察知し、ゆっくり用の薬品を撒いた。ゆっくりを睡眠に誘うガスである。 男は農学を研究する学者だ。、ゆっくりを研究する人間との付き合いもあり、こういったものを豊富に持っていた。 男は瀕死のありすを急いで回収したが、後背部の皮が大部分が失われており、瀕死の状態であった。 中のクレームが残された部分から乖離してしまったら、このありすは死んでしまう。 そこで男は大きなまりさに目をつけ、その背中の皮を切除し、餡子を多めに削り取ってからありすの前半分をつなげた。 見事につながった後、男はまりさには最低限の食事しか与えず、ありすには栄養のある食事や仔ゆっくりを食べさせていた。 するとありすの部分は大きくなり、体の支配権を握るようになっていった。 このままいけば、まりさという瘤のついたゆっくりありすになるのだろう。 その日の夜、背中にいるありすはまりさに語りかけ続けた。 「今までまりさにわからないように、夜中はおにいさんとお話ししてたの」 「お昼のまりさ、おいしかったな。でもありすはれいむの方があじがさっぱりしていて好きだわ」 「まりさったらすぐ近くで子供が食べられているのに気がつかないんだもの。ゆっくりしてるわね」 「ペラペラの子供たちを見ながら次のゆっくりが来るのを、まりさが楽しそうにお話してるのを聞きながら待ってたりするのは最高だったよ!」 「まりさ、起きてる? ……わかるわよ、つながってるんだから。寝たふりはやめてね!」 「右目はまりさの元気なあかちゃんからもらったら治ったよ! ありがとう!!」 「まりさの赤ちゃん美味しかったよ! また食べさせてね!」 「……明日もまりさの子供食べるけど、ゆっくりしていってね!!」 次の日、まりさはベルトを外され、違う部屋に連れて行かれた。 男の腕の中から、その部屋にはまだプチトマト程の子供たちが5匹ほど遊んでいることをまりさは理解した。 子供たちを男は呼び止めると、まりさを床の上に置いた。 「今からみんなには、おかあさんと鬼ごっこをして遊んでもらうよ!」 すると嬉しそうに子供たちは跳ね回った。 「おかあさんに会いたかったよ!」「ゆっくりあそびたいよ!」と、無邪気に喜んでいる。 「おかあさん、お口がふさがれてるよ?」「背中が腫れてるよ、だいじょうぶ?」と声をかけるものもいたが、「大丈夫だよ!」というまりさの方から聞こえる声を聞いて安心したようであった。 まりさは泣きそうな顔をしていたが、どのゆっくりも「大丈夫! ゆっくりあそぼうね!」の声を聞いて気にしないようになった。 「それじゃあ鬼ごっこを始めるよ!」と男は言う。 無邪気に部屋を跳ね回り始める仔ゆっくりたち。 男はそっとまりさに囁く。 「リハビリを兼ねた昼食だよ、ありす。頑張ってね!」 いや、もう男にとってはありすなのだ。 ありすはクルリと振り向くと、仔ゆっくりたちに対峙した。 「ゆっくり食べさせてもらうね!!」 母親の背中にあるもう一つの顔を見て、怯え始める仔ゆっくりたち。 「ゆゆ!? おかあさんのせなかにかおがあるよ!!」 「こわいよ! ゆっくりできないよ!」 「やめてね! ゆっくりちかよらないでね!」 それから一斉に、部屋の隅へと逃げ出す。ただ1匹だけ立ち竦んで動けないようだ。 「ゆ゙ゆ゙…ゆ゙っぐぐゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙!(ゆっくり止めてね)」というまりさの声を聞かず、ありすはその仔ゆっくりに齧りついた。 「い゙だい゙よ゙おがああざああん!! ゆっぐりでぎないよおお!!」 まりさは子供たちの絶叫、そしてそれを咀嚼する音を聞きながら涙を流すしかなかった。 まりさの恋人であり、妻であるれいむは、最近少しずつ減っていく子供たちが心配でしょうがなかった。 男が言うには、大きくなったから別の部屋に移したそうだ。 れいむは男が優しく頼りになる人間と信じていたため、それを疑うことは少なかった。 それでも、恋人のまりさの声もだいぶ前に箱の外から聞いたきりで、れいむには不安が募っていった。 春の訪れが部屋の窓から見えるようになる頃、 遂に子供たちは一人もいなくなった。 れいむは男に尋ねた。 「おにいさん! こどもたちかまりさに会わせてね!!」 男はれいむを抱きかかえ、小さく揺さぶりながら言った。 「実はまりさと子供たちはれいむに内緒でこの家から出て行ってしまったんだ。 窓の外にいたゆっくりぱちゅりーを好きになったみたいだね。 この帽子を別れの手向けれいむに渡してね、ってまりさが言ってたよ」 男はれいむに、まりさの帽子を渡して見せた。 それはまぎれもなくまりさの匂いがついた帽子であった。死臭はしないので、男が死体から剥ぎ取ったということはないのだろう。 「……ゆ゙ゆ゙ぐぐぅ、ま゙り゙ざのばがぁ!!」 悔し涙を流しながら、れいむは帽子を咥えて震えだす。 「よしよし、れいむ。泣かないでこの部屋でゆっくりしていってね!」 男は腕の中で振動を強めていく。少しずつ表情が緩んでいくれいむ。 まりさのいた箱の中に近づく男とれいむ。 そこには1匹のゆっくりありすがいた。 れいむをその箱の中に入れると、電動のマッサージ機でさらにれいむに振動を与える。 「ゆ゙ゆ゙っんほほほ! れれれれれいむだよ! よよよよろしくねありすすすすんほおおお!!」 れいむはこの振動で発情してしまったようだ。 そのれいむにありすが近づき、頬ずりをしながら答える。 「よろしくね、れいむ! きょうからゆっくりしようね!!」 2匹は交尾を始めた。 それからしばらく2匹はその箱の中で過ごし、れいむの体から茎が伸びてきた。 ありすとの子供である。5つほど実がなっていた。 れいむはこのありすのことを気に入っていた。まりさと比べ優しく、思いやりがあり幾分か知的であったからだ。 これからはありすとその子供たちと暮らすのも悪くはない。 ありすに頬ずりをしようとすると、ありすの背中に顔のような腫れ物ができているのが見えた。 「ゆっ! ありすの背中のはれもの、齧ってとってあげようか?」 ありすはれいむに向きなおってから、れいむに言った。 「ゆっ、大丈夫だよ! それより前の恋人とありす、どちらが素敵?」 「も、もちろんありすだよ! ありすの方がゆっくりできるよ!」 「ゆゆ! うれしいよ、れいむ! ずっとゆっくりしようね!!」 男はその会話を眺めながら考えていた。 ありすの背中のまりさは、全ての子供たちが自分の体に喰われてからは発狂したような素振りを続けていた。 しかし恋人が間近で寝取られてから反応を示さなくなっていった。 その心は果たしてまだ生きているのだろうか。 子供を産み終えたれいむを、ありすが食い殺した後にまりさがどんな表情を見せるか。 男とありすの復讐は、桜の花が散る頃には終わるだろう。 おしまい このSSに感想を付ける
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(星蓮船ネタ・良ゆっくり理不尽殺害) 「ドス、たすけ――」 目の前でまた一人、大切な仲間の命が失われた。助けを請う言葉を言いきる間もないままに、そのまりさの上半身は消えてなくなった。 この群れは強い力と深い思慮とを兼ね備えたドスによって率いられていた。 人里には決して近寄らず、森の奥深くにある広大な洞窟に隠れるようにしてコロニーを作り、妖怪や獣達に見つからぬように 細心の注意を払いながら狩をする。 群れの成員はその個性に適した仕事があてがわれる。狩りをする者、育児・教育をする者、怪我人や病人の治療・看護に当たる者。 よく訓練された、兵士といっても良いくらいのゆっくり達もいる。尖った枝で武装し、複数で連携をしてかかれば単体のれみりゃを 撃退することも可能なほどの精鋭達。 食料やすっきりの管理も徹底し、餌不足による餓死を遠ざける。 そうしたおかげで群れのゆっくりは赤ゆも含めれば三桁にも達し、単一の群れとしては幻想郷で他に類を見ないほど、ゆっくりとしての常識を 大きく外れたほどの規模となっていた。 リーダーのドスは幸せだった。平和で豊かな自分の群れ。それを育て、守っている己への誇り。 けれどもそんなものは、あっさりと、あまりにも、バカらしいくらいにあっさりと崩れ去ってしまった。 「やべでどべでやべぼぎゃぶぶ!!」 「じゅっじゅぅ~♪ あまあまとってもおいしいんだどぉ~♪」 「ごろざ、ぶぎゃ! ごろざないでぐだざびべ!?」 「しねッ! ゆっくりッ! ゆっくりしねェェェェエエ――ッッ!?」 生きながらにしてその身に牙を突き立てられ、体内の餡をすすられていくれいむ。 必死の命乞いも空しく、執拗な攻撃の前にゴミ屑のように崩れていくありす。 一体何が悪かったのか。ドスは自問する。一体、自分は何のミスをした。何が問題だったのか。 幻想郷内最大規模のゆっくり群れは、同じく幻想郷内で類を見ぬ程の大きな群れに襲われていた。胴付きのれみりゃとふらん、捕食種の群れに。 捕食種は通常のゆっくりと違い、基本的にあまり群れは作らない。集まったとして精々が三、四匹。群れというより、家族といった程度の規模。 それが、今ドスの群れを襲っているれみりゃ達は違った。その数は十か二十か。いや、もっともっとたくさんいるかもしれない。 わからない。まともに数えている余裕もない。 何なんだ、このバカげた数は。常識的に考えてこんなの、あり得ない話じゃないか。畜生、何でこんなことになってしまった。自分は一体、何が悪かったのか。 群れを守るために必死の抵抗をしながらドスは自問する。 しかし答えは出ない。出るはずもない。 何故ならドスは、何も悪く無いからだ。 強いて言うなら、運が悪かった。今までは極端に良い方向ばかりに転んでいた運が、今度は極端に悪い方向に転んだ。ただそれだけのこと。 「みんなは、みんなはドスがまもるからアアァァ!!」 大きく開いた口から極太の閃光が放出される。射線上にいた数匹のれみりゃとふらんが一瞬にして消し炭になる。 そう、ドスにはスパークがある。ドスは強い。上位捕食種であるふらんと比べても、遥かに、圧倒的に。 「ゆっくりしねェェ!」 「はぎょぶ!」 けれどもそんなドスの背後、また一つ、あっさりと仲間の命が失われた。 多すぎる。あまりにも、敵の数が多すぎるのだ。 訓練された兵達は、突然に大挙して押しよせた捕食者達の前に恐慌に落ちいり、その連携もまともに機能しない。 それにそもそもが多対一でようやく撃退が可能になる程度の戦力。今のこの場では何の役にも立たない。 まともに戦えるのはドスのみ。そしていくらドスが強くても、一人だけで無数の敵から群れの全てを守りきれるはずもない。 住処としている洞窟内で襲われた、そのことも災いした。正に袋のネズミ。正面から押しよせてきた大群から逃げる術はない。 せいぜい取れる策といえば、岩の陰や小さな穴に入って身を隠す程度。けれどもそれも、あまりに多すぎる捕食者の目を前にしては大した効果も無い。 生き残った群れのゆっくりは既に半分以下。このままではどうなるか。 恐らくドスは生き残れるだろう。いくら捕食種の群れでも、ドスを直接襲いもしないから。何せリスクにリターンが見合わない。 はっきり言ってしまえば必要が無いのだ。そんな危険を冒さなくても、無力な食料達ならいくらでも大量に、目の前に転がっているのだから。 ドスは生き残るだろう。が、それ以外のゆっくり達に待ち受ける運命は、皆殺しか、残るとしても極僅か。それはもはや、群れの全滅に等しい。 そんなことは許さない。絶対にさせてなるものか。そんなドスの周りで。 「だちゅけてみゃみゃあああ~~!」 「あがぢゃんだげはおねがいでずがぼきゅ!?」 「みゃみゃ! みゃみゃ! みゃ――――」 ぐちゃり、と嫌な音。途切れる声。 恐怖のあまりに動く事もできず、ただ涙と小便を垂れ流す事しかできない赤れいむ。その目の前に立ち、子どもだけはと懇願する母れいむ。 どちらの行動も僅かの意味も持たない。何の感慨も躊躇いもなく振り下ろされる捕食者達の爪。阿鼻叫喚の地獄絵図は止まるところを知らない。 ドスは知った。自分は今まで、単に運が良かっただけに過ぎなかったことを。 そうして呪った。皆を守ることのできない自分の無力を。 「うっぎゃあおおおおああああああああ!!??」 唐突に叫び声がこだました。群れのゆっくりではない。捕食種の叫び。 ドスの思考が一瞬混乱する。自分は何もしていない。なのに何故? 群れの誰かが反撃に出たか? いや、不可能だ。それだけの余力が残っているわけがない。 「いだいどぅッ! いだいいだいいだいいいびひいいイイッ!!」 「ざぐやッだずげエエエェェェエ――!?」 「はなせッ! しねッ! しねッ! しねしねしねしねじねじねじねええええあががガガガガガ!!??」 叫びは止まない。それも一匹や二匹ではない。れみりゃが、ふらんが、無数にいる捕食者達が、一匹の例外も無く身をよじり泣き叫ぶ。 そこにドスは見た。 ネズミだった。百? 二百? いやもっと、もっと? 小さな小さなネズミが、寄り固まってまるで一つの巨大な群体、今の今まで捕食者としての優勢を誇っていたれみりゃ達を飲み込んでいた。 「ざぐぅぅ……ざ……ぐやぁぁぁ――……」 「じぃ……ねぇ……じぃ…………」 ドスも生き残った他のゆっくり達も、何もできずに、ただ呆然として目前に突如現れた異状に目をやり続ける。 彼らの前であれだけの脅威をもたらした捕食者の大群は、それ以上の大群の内に呑まれ、ゆっくりと、けれども確実に、その命を貪られていった。 「やれやれ。酷い有様だな、これは」 ドスの背後、これまた唐突に声がした。慌てて振り返る。 洞窟の入り口。そこに一人の人間が立っているのが見えた。 「……ううん。にんげんさんじゃ、ない」 けれどもドスはすぐに気付く。 目の前にいるのは、一見すれば人間。髪も服も、全身が灰色の小柄な少女。両手に一本ずつ、奇妙に曲がった細長い棒。胸から下げる青白いペンダント。 ――そうして頭の上に二つの丸い耳。そして腰からは伸びる長い尻尾。 妖怪だった。それも見た目からして、ネズミの妖怪。 おそらくは今の、れみりゃ達を壊滅させたネズミの大群も、この少女の眷属なのだろう。そうドスは理解した。 それと同時に判断した。この少女が、自分達の危機を救ってくれたのだ、と。 「あ、ありがとう。ようかいさん」 大きな体をグニャリと前方に折り曲げ、恩人である妖怪に感謝を伝えた。 群れの半数以上が犠牲になった。それはもう覆せない事実。けれども、少女が来てくれなければ被害はそれだけにとどまりはしなかったのだ。 少女が来てくれたからこそ、半数近くは何とか生き残れた。だからドスは頭を下げる。 それを受けた妖怪の少女は、しかし、何も答えない。何か難しい顔をして、一人小声でブツブツと呟いている。 やがて。 「まぁ、ここまでになってしまったのだし」 小さく溜め息をついてそう言い。 「ここはもういい、か」 そうしてパチリ、小さく指を打ち鳴らした。 同時。 「ひぎぃやああああああばああああ――――!!??」 捕食種が消え静寂が戻ったはずの洞窟。そこにまた恐怖と苦痛の叫びが響き渡る。 ドスの思考が再び混乱に陥る。声は生き残った仲間達の者。 何が起きた? 捕食種はもういないのに? 一体、何故? 「いだッ!?」 答えはすぐにわかった。足元から感じる小さな、けれども無数の連続した痛み。 何者かが噛み付いていた。視線を下にやる。 ネズミだ。捕食者の脅威を排除してくれたはずのネズミが、今度は自分に、仲間達に噛みついていた。 「なんでええええ!? どぼじでっだぜええええ!!??」 「やべでッ! ネズミさんでいぶをたべないでべへええええ!!」 「おぎゃあぢゃ! おぎゃあぢゃあああぁぁん!!」 洞窟は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図へと逆戻り。 ネズミは小さい。ドスや捕食種はもちろん、通常のゆっくりと比べても決して大きくはない。 けれども鋭い牙、素早い動き、そして何より、その気持ちの悪いほどに膨れ上がった数。 生きながらに身を齧られていくゆっくり達。逃げる術は無い。場所が無い。辺り一面が、まるで灰色の海のごとき異様。 「やめさせてねッ! はやくッ、はやくネズミさんたちをとめてねッ!」 ドスは叫ぶ。自分たちを助けてくれたはずの妖怪少女に向かって。 ドスは頭が良い。だからすぐに理解した。このネズミ達は少女の眷属。彼女が操っているはずなのだ。 だから少女がドスの言葉に頷いてくれさえすれば、それでこの地獄も終焉するはず。 だが、少女は頷かない。 と言うよりドスの話そのものを聞いていない様子、ゆっくり達を貪るネズミの群れに向けて、にこやかな眼差しを投げかけている。 「とめてくれない、っていうならッ……!」 少女が頷いてくれないならば手段は一つ。ドスはその口を大きく開く。 足元から絶えず伝わってくる痛み。それは無視する。ドスの体は大きいし、通常のゆっくりとはまるで比較にならぬ程に頑強。 いくら数が多いとは言え、小さなネズミごときにそう易々と食い尽くされもしない。 全てのネズミを蹴散らすのは不可能だろう。けれども、頭さえ潰せればそれで――! 「ああああああ――――ッッ!!」 雄叫び一閃。既にれみりゃ達との戦いで消耗しきった体、そこに残された力の全てをスパークに変え、ネズミの主たる妖怪少女にたたきつけた。 少女の姿が光に飲み込まれる。ゆっくりはもちろんのこと、例え人間であっても直撃すれば即死は免れぬその破壊力。 ドスは確信した。これであのネズミ妖怪は倒せた。眷属の子ネズミ達も、頭を失えば後は――……。 「――なるほどね」 まばゆいばかりの光の奔流が通り過ぎたその後に。 「これは大した威力だ」 ドスは見た。 妖怪少女の姿、ではない。 そこにあったのは星だった。五つの角を持った、青い色をした大きな星の形。 それをドスが認識した刹那。 「感動したよ」 星が割れた。 五つに割れたその形、それは妖怪少女が首からかけていたあのペンダント、それをまるで巨大にしたかのような。 「ッッ!?」 そこまでを見て次の瞬間、ドスの周囲は漆黒の闇に包まれる。 突然の事態に一時停止をするドスの餡子脳。やがてその餡子脳に、ゆっくりと、遅ればせながら。 「ゆびあばはああああアアアああガ!?!?」 痛みが到達した。 ネズミに齧られている足元の小さな痛みなぞ真っ白に消し飛んでしまうほど、大きく激しい痛み。 妖怪少女の周囲を回る巨大なペンダントが、ドスの両目とその周囲の皮と餡子とを大きく抉りとっていた。 けれどもそんなこと、ドスにはわからない。もう、何も見えないのだから。 「ドススパーク、だったかな。 ――いや、ドスパーク?……ま、どちらでも良いか。 直に見たのは初めてだけれど、確かにこれだけの力、武器を持たぬ人間が単体で正面から行ったとして、まるで勝負にもならないだろうね」 光を失ったドスの耳に妖怪少女の声が聞こえてくる。 何かやけに楽しそう、軽く弾んでいるその声。 「ま、あくまでも普通の人間にとっての脅威、っていう話だが。残念ながら妖怪に通じるレベルではないね。 本家の、あの人間の魔法使いと違って、ペンデュラムで完全に防ぎきれる程度の威力だったし」 目は見えない。激しい痛みが思考をかき乱す。 それでもドスは必死に頭を回す。状況を理解しようとする。今のこの事態を打開するために。 「それに君達ゆっくりが相手なら、人間や妖怪を相手にした時と違って、弾幕ごっこだ何だなどと面倒な制限無しに本気を出せるって事情もある。 以上を踏まえれば、まぁ、この結果も妥当といったところかな」 足を動かそうとする。けれども無理。 スパークを打った時も、反撃で目を潰されたときも、それから思考をまとめている今この間も、ずぅっと、少しずつ、けれども確実に ドスの足を蝕んでいた子ネズミ達の口。 今や、ドスの底部はズタボロ。もはや移動すらもままならない。 体内に残っていた力も、一滴残らずスパークとして放出してしまった。 だがそれでも、妖怪少女にはまともなダメージも与えられていないようだった。 対して反撃を受けた自分は。 ただの一撃で両目をやられ、多量の餡を撒き散らし瀕死の体。 状況は把握した。それにより、今この場で己の採れる行動も理解した。それは。 「なんで! なんでこんなごとずるのおおおお!?」 口を回す。ただそれだけ。 戦う力など微塵も残っていない。歩く事すらできない。 「へぇ、これまたすごい。人間だったら普通に死んでいるくらいの傷だと思うんだが……。 まだこれだけしっかりと、口を動かすだけの力が残っているとは。構造が単純なせい、かな?」 「わげわがらないこといってないで、ドスのいうことにごだえてねッ! ドスたちが、なにがわるいごとしたのおおおおッ!?」 ならば残された方法はただ一つ。口だけ。それだけをもって、何とか相手を説得する。見逃してもらう。それしかない。 ドスは叫ぶ。自分達が何か悪い事をしたのか。もしそうだとしたら、その点は謝る。必ず改善する。だから――! 「ん? いやいやいや」 己のプライドも何もかもをかなぐり捨てたドスの叫び。 それに妖怪少女が返したのは、何か場違いと思えるほどに感じの軽い声。 「君達は別に、何も悪くはないよ?」 悪くはない。その言葉がドスの心を乱す。悪くないというなら、何故自分達がこんな目に。 「まぁ、強いて言えば運が悪い、かな?」 己と仲間達の命を背負って言葉を吐き続けるドスに対し、少女はどうにも軽い、少々の笑いすら含んだ声で返してくる。 「本当、君達に何も落ち度はなかったんだ。 ちょっとね、こっちとしてもちょっとした予想外というか、いやいや、羽根付きの連中はさすがに行動力が高いというか。 とにかく、誰も悪くないんだ。君達も。あと、まぁ、きっと、私も。 うん、本当、悪かったのは運。それだけさ。お互いに」 「だがらわげわがんないことばっかりいってないでエエエエ――――ッッ」 自分達は悪くない。妖怪少女も、また悪くない。悪かったのは運、それだけ。 ふざけるな。そんなことでこの大虐殺を納得できるはずがない。刻一刻と死に近付くその体で、それでもドスは最後の力で声を上げる。 「そこまで言うのなら」 そんなドスの気が届いたのだろうか? 妖怪少女は小さく溜め息をつき。 「そうだな。こんな不幸が起きてしまった経緯全て、君に話して聞かせるのも良いかもしれない」 パチリと指を鳴らす。 途端、ドスの足元、小さな痛みの連続が止まった。 それから少女はゆっくりと話し始める。 「ちょっと前のことなんだが。 私は幻想郷の管理人――あぁ、あの隙間妖怪のことだがね――彼女から一つ、依頼を受けたんだ。 曰く、『幻想郷に存在するゆっくりを、老若男女、性の善し悪し、一切の差別することなく全種根絶やしにせよ』って。 はは、おかしな話だと思わないか? 君達ゆっくりに男も女もないってのにさ、老若男女だなんて」 言って心底おかしそうにころころ笑う少女の声。 おかしいのはそんな所じゃないだろう。少女の言い出した理不尽の前に、ドスは黙ってもいられない。 「なんで!? なんでゆっくりをッ!?」 「いやほら君達。田畑を荒らしたり、人の家に勝手に入ったり、色々悪さをしているだろう?」 「ドスたちはそんなごとしでないのにいいいいい!!」 「そうだね。うん。全てのゆっくりが性悪というわけでもない。 中には君達のように森の奥深く、人と関わらないようにして生きているゆっくりだっているさ」 「だっだらアァ――――!?」 文字通り命を、全てを賭けて自分達の不幸の原因を探ろうとするドス。 それに対して、あくまでも楽しそうに、面白そうに、軽い調子で話を続ける妖怪少女。 どうにも噛み合わない二者の問答は続いてゆく。 「いやそれがね? どうも、管理人さんが言うには。 君達ゆっくりっていうのはさ、ほら、元々幻想郷に住んでいたわけではないだろう? 現れたのはごく最近。せいぜいがここ数年。 かと言って外の世界から幻想になって流入してきたってわけでもない。 正に出所不明。その生態も、動物とも植物とも、人間とも妖怪とも、何とも言えない。全くの正体不明。 そんな物をね、幻想郷に置いたままにはしておけないって、そう管理人さんは言うんだ。 まぁ確かに、この世界は彼女達が色々苦労をして、結果できあがった絶妙のバランスの上に成り立ってるものだからね。 君達みたいな突然の、出所不明な新参部外者を受け入れるわけにもいかないっていうのは一理ある、かもしれない」 少女の話、その内容は、ゆっくりとしては非常に高い知性を持つドスには何とか理解はできた。 だが、理解はできても納得はできない。 バランスが崩れるかもしれないというのは、あくまで可能性の話。 そして自分達が幻想郷に住んでいるのも、こうした生態なのも、全ては己が望んでなったものではない。元々そういうものなのだ。 故にそれは、あえて言うならば(そんな者がもし存在するとしたならば、の話だが)造物主の責任。ゆっくり自身の咎ではない。 それなのに、そんな理由で。 「ぞんなりゆうで――」 「そんな不確かで、かつゆっくり自身に罪は無い、そんな理由で駆除だなんてひどい……かな?」 ドスの心を読んだかのような少女の答え。言葉の先を取られ、思わずドスは黙ってしまう。 「確かにね。 普通だったらこういう場合、いくらかの反対意見も出るものさ。ゆっくりに罪は無い、共生の道を探せって。 でもね。ほら、ゆっくりの一部はさ、さっきも言った通りの悪さをしてしまっている」 「でもッドスだちは――」 「で、だ。 君達のように賢い連中はハナから里には近付かない。バカで性悪な連中ばかりが里に現れて人間に迷惑をかける。 そのせいで里の人間からすれば、ゆっくりっていうのは基本的に害獣だって認識ができてしまっていてね。 特に反対もしないんだよ。ゆっくりの駆除に。 ……それに、何より」 そこまでを言って少女は少し口を止める。その口から、プッと小さく吹き出す音が漏れた。 「この幻想郷の主たる住人、妖怪――と、それから妖怪じみた人間もか――彼女らはさ、ふふ、本当に面白い話だが……。 ――君達ゆっくりのことが大っ嫌いらしい」 「なんで!? なんでぞんなごど――」 「ま、当然と言えば当然かな? 自分と同じ顔、名前をした気持ちの悪い生首。しかもその顔は潰れ饅頭、その行動は幼稚で愚鈍、時に性悪。 そんな物がさ、大量にその辺を跳ね回っているんだ。元?になった当人からすればとんでもない侮辱だよ。 憎悪こそすれ、少なくとも愛護しようって気にはなれないだろう」 「ぞんな……」 「以上の理由で人間も妖怪も誰も、君達ゆっくりの駆除には反対しなかったんだ。 まぁ、自分達でわざわざ殺そうというほどの気も起きないけれど、目に付かない所で駆除してくれるならそれはそれでありがたい。 それ位の感覚なのだろうね」 ドスにはもう、何を言う力も出なかった。そんな気すら失せてしまった。 幻想郷に住んでいるのも、この生態も、見た目も、全ては元々そういうものなのだ。ゆっくり達がどうしようとして、どうにかなるものではない。 けれどもそなんどうしようもない理由のせいで、ゆっくりの皆殺しが決まってしまって。 ――運が悪かった。 少女の言葉が脳裏に甦る。 ドスはゆっくり理解した。確かにそうだ。自分達はこんなにも、吐き気がするほどに酷く運が――……。 「ま、ここまでは君達も運が良かったんだけどね」 「!?」 もはやこれ以上のない不運。そうドスが断じたこの状況を、しかし少女はあっさりと跳ね除けた。ここまでは幸運だ、と。 「何せこの私の元に、ゆっくり駆除の依頼が舞い込んできたのだから」 ドスにはわからない。 どこの誰が下手人になろうと、先に全滅という結果が設定されている以上、そこには最悪以外の何もありはしない。 幸運なんてありえないはずなのに。 「君達ゆっくりは力こそ弱いが、非常に数が多いし体も小さい。 単に目についたゆっくりを殺すだけなら、人間の子どもにだって簡単にできる。が、全てを根絶やしに、となると高位の妖怪ですらかなりてこずる。 その点私は、戦いは苦手だが探し物は得意。手足となってくれる子ネズミ達もたくさんいる。 今回のような仕事には正にうってつけ。だからこそ、管理人さんも私に依頼したのだろうが……。 ――そこが君達の運の良いところだ」 だから何でだ。もうまともに声を出す気力もなく、ただ心の中でドスはうなる。 ゆっくり駆除に効率の良い能力を持つ者が仕事を請け負った。それのどこが幸運なのだ。むしろ事態の悪化ではないか。 「私はね、ゆっくりを皆殺しになんてするつもりはない」 予想もしていなかった言葉がドスの耳に飛び込んだ。 「私は他の連中とは違う。 私はゆっくりが大好きだ。愛していると言っても良いくらいに」 皆殺しにはしないと言った。 好きと言った。 愛していると言った。 この少女は、皆が嫌うはずのゆっくりを。 「だってそうだろう?」 少女の手が触れた。ドスの巨体からすれば余りに小さな手。それが優しくドスの体を撫でる。 「君達は、とても素晴らしい食料なんだから」 「! ゆぎゅびィ!?」 その手に急に力が籠められる。ドスの体内にめり込む。皮を突き破り、その内の餡を鷲掴みにする。 「私や子ネズミ達の好物は人間。 だがね、里の人間を襲って食べるというわけにはいかないんだ。 そんなことをすれば巫女に本格的に退治されてしまうし、更には人間と妖怪の力関係が崩れ、幻想郷の崩壊にも繋がりかねない。 それでも私は、ほら完全な妖怪だから、人を脅かし、その恐れの心を食べるだけでも充分やっていける。 けれど」 少女が指を鳴らした。同時。 「ゆッッぎ、ぎぎぎぎぎぎ……」 止まっていた足元の痛みが、またドスの体を蝕み始めた。 「この子達はまだ未熟だからね。そういうわけにもいかない。 だからまぁ、たまに配給される外の人間、それを食べさせるわけだが……。 ほら、うちは大所帯だからね? そんな、たまの人間だけじゃとてもまかないきれない。 しかたなくその辺の木の実や獣の死骸など、普通のネズミが食べるのと変わりない食事ばかりをさせていたんだが……」 少し沈んだ声の色。それが。 「そこに現れたのが君達だ!」 一瞬にして軽く明るく跳ね上がる。 「君達は弱い。ドスという例外を除けば生き物としては最低ランク。非っ常に弱い。すぐ死ぬ。 そしてそれ故に多産でもある。簡単にすっきりをして、植物型出産なら一時で複数が作れる。オスもメスも無いから組み合わせも楽。 多産多死。『弱い』生き物として、ある意味とても理にかなった生態ではある」 少女の声が跳ねる、揺れる。本当に、心の底から嬉しそうに。 「しかもだ! 君達はそんな、多産多死の弱い生き物でありながら、非常に、信じられないくらいに高度に発達した精神を持っている! これは驚くべきことだよ。誇ったって良い。 明らかに食物連鎖の最下層付近に属しながら、その精神は人間とほぼ同等と言えるくらいのものなのだから。 ――そしてそれは、すなわち」 「ゆびッ!?」 ドスの体内に潜り込んだ手。それが一層の力を持ってドスの餡をかき乱す。 「君達は非常に高度な『恐れ』の感情を持ち得るってことさ」 妖怪は人を食す。それは単に肉を食すのみではない。 妖怪は精神も食す。人が化け物を恐れる心、それも妖怪にとっては大事な食べ物なのだ。 ゆっくりは増える。人間よりも遥かに簡単に増える。しかも、それを殺すことによるデメリットがない。 その上、ゆっくりは人間とほぼ同等の感情を持つ。通常の獣とは違う、容易にはっきりと理解できる恐れの感情を見せてくれる。 数が多い。しかも、物理的、精神的、両方の意味で食べられる。 少女にとってゆっくりは、子ネズミ達の餌とするのにこの上ない食材なのであった。 「それにね、君達を適当に生き残らせて、それが他の連中の目に付けば、そのたびにこちらに駆除の仕事が舞い込む可能性だって出てくる。 つまりだ。君達ゆっくりは私にとって、物理的にも、精神的にも、経済的にも、とても美味しい生き物なんだ。 皆殺しにするなんてとんでもない!」 少女はゆっくりに高い利用価値を見出している。故に、決して全滅させはしない。 「だからね、私はゆっくりを守ることにしたんだ。私は戦いは苦手だが、こと守りに関してはそれなりの自信があるからね。 里の近くや大勢力の本拠近く、そういった誰かの目につきやすい所のゆっくりはさっさと駆除する。 けれども君達みたいな、森の深くなんかの見つかりにくい所にいるゆっくりの群れ、それは密かに保護することにしたんだ。 いくら目につきにくい所に住んでいたって、私の能力なら簡単に見つけられる。 そうして見つけた後は、こちらは姿を隠しつつ餌を与えたり、外敵を排除したり。 君達の群れもね、そうやって影で私が手助けをしていたからこそ、ここまで大きく育ったんだよ?」 「!? ぞんな!? ぢがうよオッ! むれのみんなはドスが――」 「自分が育てた? ハハハ! いやいや、あり得ないだろう。普通に考えて、それは」 「ゆぎッ!?」 ドスの体内から手を抜きそれを顔の前で振りながら少女は笑った。 「群れが大きくなれば、仲間の数が多くなれば、それだけ外敵に遭遇する確率が高まる。餌だって足りなくなる。 だからね、自然の状況下ではどうしても、その増える数に限界ができてしまうんだ。 せいぜいが三、四十匹。五十はまず超えられない。自然状況下ではね」 「でもッでもドズはああああ!」 「でもも何も無いさ。 確かに君は強いし、ゆっくりとしては非常に賢い。 でも、それは君だけの話だろう? 仲間のゆっくり達は、いくら訓練されていても結局は通常のゆっくりだ。 単体の捕食種ゆっくりならともかく、君の目の届かない所で山犬にでも襲われれば何の抵抗のしようもない。 遊び半分の妖精や妖怪に見つかったら、君ですら危ない。 で、今までそんなこと、一度でもあったのかな?」 「ながっだげど! ながっだげどおおおオオオ!!」 「だろう? それこそが私のおかげなんだよ」 ドスには誇りがあった。 他に類を見ない巨大な群れ。それを己の手で育てたという誇りが。 けれども、それはドスの力ではないという。全てはこの妖怪少女が裏で手を出していたおかげという。 仲間を失い、己の体も散々に損なわれ。 ……ついには誇りまでも打ち砕かれた。 もはや、ドスには何も残らない。 「ああ、いやでもね? 君が特別に優秀だってのは本当さ。この群れがここまで巨大に育ったのだって、半分は確かに君の功績だよ」 今や全てを失った。何を聞く気すらも起きないドスの前、けれどもそんな様子を顧みもせずに、一人少女は話を続ける。 「普通の群れだとね、私が手助けをしてもここまでにはならない。 ゆっくりは間抜けが多いからね。危険なものをそれと知らず近寄って死んだり、下らない理由で仲間同士殺しあったり。 ほら、私としてもさ、立場上、直接自分や子ネズミ達の姿を見せて介入援助、ってわけにもいかないからね。 どうでもいい下らない理由で勝手に死ぬのまでは防げない」 ドスはもう、少女の話を聞いていない。それよりも今は仲間だ。仲間の声を。 「けれどもこの群れは違う。君が優秀なおかげでよく教育され、統率も取れ、餌の提供と外敵排除さえしてやればほとんど死者は出ない。 だからどんどんと数が増えていく。常識的に考えればありえないくらいの勢いで。 それを見ててさ、私としても段々面白くなってきてね。一体これはどこまで増やせるのか。記録に挑戦!って感じかな。 そんなわけで、他の群れはある程度数が増えたら適当な数を収穫して食べるのだけど、ここのゆっくりには一度も手を出していなかったんだ」 ドスは耳をすます。けれども仲間の声は聞こえない。ただの一人も。呻き声も、断末魔さえも。 「でまぁ、ここからが君達の不幸についての話なんだが」 少女との長い問答を続けている間に、仲間は一人残らずネズミ達に食い尽くされてしまったのだろう。 「うちの子達は何でも食べるが、好きか嫌いかで言えばやはり肉の方が好みでね。 そこであの羽根付きの連中を大量に養殖してみるか、そう考えたんだ。 ただね。ほら、あの連中って自然下では滅多に群れも作らないだろう? というわけでこっちも予備知識すら乏しいまま、とにかく大量に、大量に作ることだけを考えて養殖していたんだが……」 ドスは後悔した。仲間を助けられなかったどころか、その死に様をとらえる機会すら、自分は逃してしまったのだ。 「正直、所詮ゆっくりと油断していたよ。私の監視下から集団で逃げ出されてしまってね。 ようやく見つけてみれば、何とお気に入りだったこの群れを襲っているときた。 ま、羽根付きの連中も通常ありえない数にまで膨れ上がっていたんだし、なら同じく異常レベルの大きさの群れを襲うのは当然といえば当然なんだろうが」 少しバツの悪そうな顔で少女は頭をかく。 その様子、とうに光を失ったドスに見えはしないし、例え見えていたとして、そんなものはもはやどうでも良い。 「慌てて子ネズミ達を向かわせて羽根付きどもを駆除したわけだが……。 いや、今になって冷静に考えると、うん、確かにこの群れはお気に入りだったけど、私が到着した時点で既に半数以下になっていたし、 そこまで減ってしまえばもうどうでも良いというか、これまた苦労して繁殖させた大量の肉を、全て失ってまで助ける必要もなかったかなぁというか……。 それに私が介入しなくても君と、あと運が良ければ数匹のゆっくりは生き残れたろうけど、こうして私が直接介入した以上、 残らず殺さなければならなくなった。 何せこっち、一応は駆除を引き受けている身だからね。 『努力したけど駆除しきれませんでしたー』なら言い訳も立つが、さすがに直接ゆっくりの前に姿を現して、その上で見逃した なんてことが依頼人に知れでもしたら、契約違反で賠償請求すらされかねない。 それは困る。とても困る。 だからね。君達には全員、今この場で死んでもらわないといけないんだ」 すまないね。そう言って少女は軽く頭を下げた。 ドスには見えないし、どうでも良い。 「……っていうか、うん、あれだな。ここまで話して、改めて思ったが……。 さっき、君も私も誰も悪くない、悪いのは運だけって言ったけど……すまない、嘘――というか少し見栄をはってしまっていたよ。 悪いのは私だね。私の判断ミスが重なった結果がこれだよ。いやホント、申し訳ない」 少女の声は、さほどに軽くもない。かといって深刻というほどでもない。 けれどもそれも、今のドスにとってはどうでも良いことだ。少女がどれだけ悪いと思っているのかなんぞ、どうだって。 それに。ドスは思う。 運が悪い。それは確かに、その通りだとも思うのだ。 自分達の在り方、そのせいで起こった駆除の話。それを受けたネズミの少女。彼女の下した、ゆっくりを守るという結論。 そのおかげで大きくなった自分達の群れ。そうして、彼女のミスから起こった今回の惨事。 全てドスには、ゆっくりにはどうしようもない出来事なのだ。介入のしようもない雲の上の話なのだ。 だから結局のところドスにとってこの悲劇は、今まで極端に良かった運が今度は極端に悪い方向に転がった。それだけのこと。 足元を蝕んでいるはずの子ネズミの牙、その痛みももはや感じない。 仲間を全て失い、己の無力を思い知り、誇りすらも幻と消え、這い上がる術のない絶望の内にドスの意識は闇の底へと沈んでいった。 「――ふふ、ごちそうさま」 物言わぬ屍となったドスの前、少女が妖しく微笑んだ。 どうせ殺さなければならなくなったのだ。それならば、できるだけ美味しくいただいてやるのがせめてもの慈悲。 だから少女は死にゆくドスに全てを話した。その深い絶望を、真っ暗な感情を、存分に味わった。 「本当に、本当にステキだよ。君達は」 穴だらけになっていくドスの巨体に、愛しそうに手を這わせる。 思えば今回は下らない失敗をしてしまった。欲に駆られて無茶をし、予想外の事態にあせって判断ミスを重ねた。 ただでさえ依頼人を欺き危ない橋を渡っている現状、それなのにこんな体たらくでどうするか。 こんな気の抜けたザマでは、いつ自分の秘密が、ゆっくりの保護繁殖の様が他者にもれるかも知れたものではない。彼女は己を叱咤する。 同じ過ちはもう決して繰り返さない。我が愛すべきゆっくり達は必ず守る。決して、誰の手にも渡しはしない。 少しずつ崩れていく大きかった躯に向け、少女は心の中でそう誓ったのだった。 (作:おっ゜て) このSSに感想をつける
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幻想郷。 失われた自然といまだ人が共存する地。 大地の恵み、川の恵み、風と雨に立ち向かい、その猛威を畏れ、恩恵に感謝する。 自然と対峙し、ときに糧を得るべく狩り、または育む。 人が自然の中に生きるために狩るもの…それは、ゆっくりと呼ばれる存在であった。 この村には風変わりな家がある。この家には一人の男が住んでいる。 村の規模はまだ小さく、発展の途上にあることが十分に伺える。頑丈な、これだけはまずしっかりと拵えた柵の内に村人は家を建て畑を耕し、しかし、この男と幾人かの村人は農民の生活に合わせず、 朝は遅くまでベッドの上、夜はいつ帰るともしれず、それでいて男を見る村人の眼はいつも尊敬の念にあふれていた。 そんな男の家は村の中心にあり、村長の家をしのぐ大きさを誇る。ただ、その形が異様だ。大きな台形のような外見で、二階には大きな窓が二つ、屋根は真っ黒に塗られ、天井は高く尖り、家の後ろには波打った藁のようなものが垂れていて、 近くで見るとつるつるとした壁肌が、村からゆっくり離れて、段々とその形が周辺の者なら誰でも見覚えある形にまとまって見えてくる。大きな、大きな、ゆっくりまりさの形に。 この男の家はゆっくりでできていた。 村の中で異彩を放つ、その家は庭のようにちょうど周囲を取り巻く柵を境に、ゆっくりを丸ごと家に改造したものなのだ。 かつて村を襲った脅威の一つ、10m級ドスまりさを剥製化して、職人を招き、住居として手を加えたもの。 あんぐりとあけっぱなした巨大な口には、すっぽりと豪奢な鉄のドアを嵌め込んで。 目の部分は二つの円窓を誂え。 皮は、樹脂とゆっくりの餡子を練りこんだ特製の油を塗りこみ、コンクリートのように硬化処理し。 風船のようにぷっくりと広げた内部は餡子を残らず抜き取って大黒柱と支柱を数本立て、床には絨毯を敷き詰め。 帽子と髪の毛も腐敗処理を施して屋根として利用してある。 この家はまさしく、「ゆっくりの家」だ。 そんな奇妙な家の内装もまた、あらゆるものがゆっくりで作られていた。 成体のゆっくり各種を背中から切り開き、餡子を抜いて代わりに綿を詰めて縫い合わせたゆっくり縫いぐるみ。 生きたままのゆっくりの頭部に穴をあけ、花の種を植えたゆっくり植木鉢。これはゆっゆっと掠れた声でぴょんぴょん跳ねながら、頭の花をゆらゆら揺らしている。 柱に打ち付けられたゆっくり時計。膨らんだ腹部に鳩時計と同じ仕掛けを施し、定時になると生まれたての赤ん坊ゆっくりがぽーんと転がり出てくる。 箪笥や、床に置いた道具箱などもゆっくりから拵えたものばかり。 なぜ、これほどにゆっくりにこだわるのか。男にしてみると、こだわるとかそういった問題ではなかった。ただ、生活に関わるあらゆるものが、ゆっくりであっただけで… この男の職業は、ゆっくりハンターだから。 人口は百足らず。時折訪れる行商人とのわずかな交易と狩りの成果に頼る小さな村は、つい最近の開拓によって作られた。 都市を出て郊外を離れ、ずっと森の中に分け入ったさらに先、自然の趣たっぷりな平野に新天地を求めた人々によって築かれた。 だが、そこは伝説でしか知られない不自然の脅威にさらされる地だったのだ。 大きな森や山に必ずいるという、生まれつきの素質をもつ個体が、強運と狡猾さで生き延びて、群れを支配するまでに巨大化した、ドスまりさ。 都では滅多に確認されない、ドス級の巨体に加え、鮮やかな桜色のリボンがトレードマークのれいむ種、リオれいむ。ドススパークに匹敵する火炎球を放つという。 姿かたちは元の種と変わらず、やや大きめの体に人間でも追跡できぬ異常な素早さと凶暴性を秘めた、ちぇんクック。さらに凶悪なちぇんガルルガなる種も噂に語られる。 遠目からでも、地響きと20mという巨体ゆえに目立つ、ティガれみりゃ。 それ自体が一つの山と数えられ、もはや災害そのものにまで増長し、都の防衛庁が対策を講じねばならぬという、ラオシャンみょん。 もはや伝承ですら語られることも稀な、 伝説に忘れ去られた古代の知識を身に着け、天を裂き山を揺るがし、自然現象を操る超常の種、ミラボレぱちゅ。 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………… 辺境の村はどこもゆっくりの脅威に晒された。ある村は蝗の様に襲いかかるゆっくりの大群に畑を食い尽くされ、ある村は見たこともない巨大なゆっくりに家を踏み潰され、村があった場所はもはやただの平原に変わったという。 ゆっくりを対処する手段が求められた。ゆっくりを研究し、ゆっくりにのみ通用する毒やゆっくりの本能を刺激して罠にかける方法が編み出された。だが、それだけでは足りなかった。 小さなゆっくりには人的手段が通用したが、災害に等しい巨大種には常人では対抗しきれない。 そうして立ち上がったのが、ゆっくり虐待派と呼ばれた青年たちだった。はじめ、彼ら彼女らは生き物を無残に遊び殺すと忌避された。しかし、ゆっくりを様々な方法で玩ぶうちに、虐待派はゆっくりのあらゆる特性を学んでいった。 彼ら彼女らはただゆっくりを殺害する手段だけではなく、生活に役立つ道具としてゆっくりを加工する手段も編み出していったのだ。 いつの間にか、森に棲むゆっくりを狩り、ゆっくりから武器や防具を加工して、仲間同士で連携して巨大種を倒す技を身につけた者を 「ゆっくりハンター」 と呼び、いまや開拓村、辺境の町ではなくてはならない存在となった。 ハンターには素質が必要だ。それはゆっくりを傷めつける虐待の精神がなにより重要とされる。 ゆっくりは極めて世代交代のサイクルが短い。また、個体自体の「進化」と他の生命体なら呼ばれるだろう環境への適応能力もまた著しく高いのが特徴である。 その最たる例が、『虐待などで過度のストレスを長期受け続けたゆっくりの餡子は非常に甘くなる』というものである。 これは殆どのゆっくりに当てはまる、環境への自己適応である。 ハンターはゆっくりを狩り殺すだけが能ではない。生業として成立するために、ゆっくりから様々な道具を作り出す知識を身につけている。ゆっくりにかける負荷の度合いや部位によって、硬度や弾力性に変化を持たせることで、 巨大種の皮や餡子、または眼球や舌などから衣服、調度品、薬品、そしてハンターがゆっくりを狩るための武具を作り出すのだ。 ゆっくりを狩る者にも色々いるが、(都では、身長を超えるような大きな玄能を嬉々として振り回す少女のハンターがいるともっぱらの噂だが)時には、胴体付きゆっくりを捕獲して調教ないし教育し、 ペットや使用人、あるいは狩りの手伝いをする助手として利用することもある。 この開拓村に、ゆっくりの家を造って暮らす男は、随一のハンターである。討伐、捕獲、採集、あらゆる依頼をこなし、かつてはラオシャンみょんの進行を阻止する要塞戦で勝利を収めたほどの猛者だ。 日が沈み、夜が訪れる頃。 男の家に客人が現れた。村長だ。曲がった腰を杖で支え、ドアをゆっくり叩いた時、男はちょうど食事の時間で、飼いゆっくり(ピンクと白の縞々帽子をかぶせたまりさ)を撫でながら、コックのれみりゃが作った小籠包を味わっていたところだった。 村長の用事はわかっていた。それは依頼だ。 「急ですまんがの。また森のほうでゆっくりがあらわれたそうじゃ。行商人が依頼を持ってきた。なんでも近く都のほうで新しい建設の計画があるそうじゃが、その付近で凶暴なゆっくりが群れをつくっとるそうじゃ。都から派遣されるハンターと共同で討伐してくれとの。」 男はそれだけ聞くと、口元の肉汁を拭い、膝の上のゆっくりを払い落して無言のまま、壁に掛けた武具を取り出し装着した。 彼が身につけるのは、かつてラオシャンみょんを討伐した際、剥ぎ取った表皮を乾燥させ、薬品に漬けこむことで銃弾の衝撃を吸収するほどの耐衝撃性をもたせたものを甲冑として鍛えた「暁丸」、 武器はラオシャンみょんの牙を削った太刀「楼観剣」である。 準備が整うと、村長が手配したゆっくり車(底部に車輪を取り付け、横長に変形した2m級のドスまりさ二体が牽引)に乗り、鞭を振るった。 ひぃっと小さく声を上げると、ドスまりさがゆっくりと移動を始めた。 地図に示された狩り場に辿り着くのは深夜。もっとも狩りに適した時間だ。それまで男は休息を取るべく目を閉じた。ハンターの習性ゆえに、男はすぐに眠りに落ちた。 目が覚めた時には、非情かつ冷酷なハンターがそこにはいるだろう… (続く) おはようとそしてこんにちは、それからこんばんは VXの人です。 どうしても書きたかった。後悔はしてはいけないと信じてる。シンジテル。 このSSに感想を付ける
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ゆっくり達の挽歌 ※下手です 子を産める程度のれいむを二体、捕まえた。 二体を巨大で、無機質な部屋に入れて、放す。 「ゆゆっ!! はなしてね!!」 「ゆっ!! おじさんはでていってね!!」 最初は抵抗していたが、『あまあま』を与えると、喜んだ。 「もっと、あまあまほしいよ!!」 「ゆっくりしないで、はやくしてね!!」 さらに『あまあま』を与え、満腹の状態を維持させる。 「も、もう、たべられないよ!!」 「おなかいっぱい!! しあわせー!!」 それから、私は、ゆっくりをぶるぶると振動させた。 「ゆゆっ!? ゆ……ゆゆっ!! ゆゆぅ……ゆゆゆゆゆゆ!!」 「ゆ!? れいむどうしたのっゆっ!! ゆゆぅ!!」 二体の身体の表面が少し湿ってきた。 「ゆゆ!! れいむ!! でいぶあああ!!」 「でいぶあああ!! ぎぼぢいよお!!」 両方の身体から、愛液がどくどくと溢れ出てくる。 二体は白目を向いて、涎と涙を垂らしている。 「すっきりー!!」 「すっきりー!!」 片方のれいむから茎が生えてくる。 数日後……茎から実が落ち、子供が生まれる。 「ゆゆっ!! あかちゃん、ゆっくりしていってね!!」 「れいむたちに、にて、かわいいね!!」 子供は十一体だ。『あまあま』をたくさん与えているからだろう。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」 「ゆゆゆっ!!」 「ゆっきゅりー!!」 「おじしゃんじゃりぇ?」 「おじしゃんもゆっきゅりしちぇる?」 同じようなことを言う、ゆっくり達の家族から、ゆっくりの親を取る。 「ゆゆっ!! ゆっくりやめてね!!」 「ゆっくりしていってよー!!」 「やめちぇにぇ!!」 「おきゃーしゃんをちょりゃにゃいでにぇ!!」 懐から、注射器を取り出し、ゆっくりに注入する。 ゆっくりが小さく悲鳴を上げたが、全て入った。 そして、そのゆっくりを床に置く……すると。 「でいぶう!! でいぶびゃああ!!」 「ゆゆゆっ!? やびぇ!?」 そのゆっくりが妻に、突入していく。 私は、戦慄となった、赤ゆっくりを、天井から吊るした板の上に置いた。 「でいぶうう!! でいぶうううあああ!!」 「やびぇじぇ!! ごどぼだぢゃっふ!?」 レイパーれいむは身体から、愛液を振り回し、速くぶるぶると震える。 一方、れいむは戸惑いつつも、顔を紅潮させている。 レイパーれいむは、もはや狂人のような顔つきだ。 赤ゆっくりはそれを見て、泣いていた。 「すっきりー!! すっきりー!! すっきりー!!」 「すっきりー!! すっきりー!? ずっぎぎー!? ずぎあああ!!」 れいむは何度も擦られて、皮が擦れて餡子が漏れ出し始める。 さらに愛液の出しすぎで、表面がパサパサとしてきた。 「ずぎっ!!ずっ!!ず!! もど、ゆぐず!!」 やがて、れいむは果てた。 レイパーれいむも枯れてきたので、オレンジジュースを掛けておく。 レイパーは死体のれいむで自慰行為に励んでいた。 「お父さんはとても、怖いんだよ」 「ゆぎゃあ!!」 「ぎょわいよおー!!」 「だじゅげじぇ!!」 「じじぢゃぎゅだい!!」 私が一言言うと、赤ゆっくり達は混乱した。 次の日……。まだ、太陽も出ぬ頃に。 「ゆがあ!?」 親れいむが悲鳴を上げる。薬の効果はもう、切れていた。 「ゆっきゅりぎょろしゅはちんじぇにぇ!!」 「ゆっきゅりちにぇ!!」 「びゃーきゃ!! びゃーきゃ!!」 赤れいむ達が、れいむに突進する。 小さいので痛みはあまり無いが、れいむはショックを受けたようだ。 「や、やめてね!!」 「おぎゃーじゃんをぎょろじじゃぎゅじぇじい!!」 「おじざんぎゃおじえじぇぎゅりぇじゃよ!!」 「おぎゃーじゃんぎゃ、わりゅいゆっぎゅりじゃっじぇ!!」 れいむは、しばらく固まっていたが、皮を裂かれ、餡子を食べられ始めると抵抗した。 「ゆぎゅ!?」 「にじゃあ!?」 それに二体が巻き込まれる。 「ぎゃあ!?」 「よぎゅみょぎょりょじじゃにゃあ!!」 さらに赤れいむが突進する。しかし、れいむは見切りを付けたようだ。 「ゆびぇえ!?」 「ぎゃぎゃ!?」 「じゃびぇ!?」 「じゅじゅじぇ!?」 「ぎゃああ!!」 「ぎゅっぎゃ!?」 六体の赤れいむが餡子の塊と化した。 しかし、残った三体は、傷口に突進した。 すっぽと、中に入ってしまった。 「ゆぎゅう!? いだい!! いだいぃ!?」 中で、赤れいむが餡子を食っているようだ。 れいむは身体を振り、壁に突進した。 しばらくすると、れいむは落ち着いて、虚空を凝視し始めた。 「ゆぅ?」 私は先程、河童製『かめら』で撮った、写真を、箱に貼り付けた。 それは、一方向だけ開くようになっている。 れいむをその中に入れ、開閉部分を下に置く。 「ゆぎゃあ!?」 れいむが叫びだす。 「いだい!? やべっ!! ゆるじああ!?」 さらに叫ぶ。 「おでがいでずう!! ゆぎゃああ!!」 しばらくと呟くようになった。 「わどぅ……れい……ゆる……ごべ……」 声はやがて聞こえなくなった。 それから、六刻程して、私は箱を引っくり返して開けた。 「へへへ……あっぱるああ!! でいばあっふ!?」 れいむは箱から飛び出すと、ふらふらと、動いた。 が、止まって、壁に体当たりした。 「ひゅっるゆっくりああ!! ぎぼぼっべ!!」 さらに身体を回転させ始め、私に寄って来た。 「じね!! じでえ!! ぼっかあ、らった」 酔っ払ったかのように、部屋から、出て行く。 そして、玄関から出て行き、畑で、止まった。 その後、かなり速く、進んでいく。 「ゆっぶ!?」 れいむは、柵につっかえた。 しかし、無理して、隙間から出ようとする。 「ゆぅ!! ゆぅ!! ゆがあああああ!!」 身体が、めり込んでいく。 「ゆっ……べっ!! れいむは白目を剥いて、飛び散った。 END このSSに感想をつける
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森の中を三匹のゆっくりが並んで歩いていた。 真ん中に居るのはゆっくりアリス、繁殖には欠かせないゆっくりだ。 両側に居る四肢のある小さいゆっくりは、ゆっくりシャンハイとゆっくりホラーイ。 稀に、ゆっくりアリスと共に生まれてくる種類だ。 知能は意外と高く実際の人形並み、つまりゆっくり並にあるそうだ。 「ァリス、ココデユックリスルノ?」 「ユークリスルノ?」 「うん、きょうはここでゆっくりしようね!」 「ハァイ」 「ハーイ」 今日選んだ場所は、森にぽっかりと空いた広場。 寂しがりやのゆっくりアリスは時々、ここまでやってくる。 だからと言って何かするわけでもなく、ただジーッと木の陰から他のゆっくり達が遊ぶのを眺めているのだ。 ゆっくり達も気付いてはいるが、向こうからやって来ない事、それと何度か誘って一緒に遊んでも、やたらとはしゃぎ過ぎるので、大抵はそのまま気まずそうに遊んでいるのだ。 「まりさもれいむも、ちゃんとあそぼうっていってくれたら、あそんであげるのに」 「ァリィスカラサソェバ?」 「サソーエバ」 「せっかくきてあげたんだから、あっちがさそわなくちゃいけないの」 「ソォカ」 「ソッカー」 それでも、一緒に居るシャンハイとホーライのおかげで寂しくないアリス。 口から出るのは強がりばかりだった。 「そろそろ、おうちにかえってゆっくりしよう」 「ゥン、ユックリシヨゥ」 「ユクーリスルヨ」 先ほどの場所から、家までは随分遠いので家に着く頃には真っ暗になっていた。 「やっとついたよ!!!」 「ツカレタァ」 「ユックーリデキルネ」 その日も三匹固まって眠りに付く。 翌日、今日は初めて人里に行ってみることにした。 以前、同じように木の陰で話を聞いていると、最近、人里近くの綺麗な土地で野菜を食べていたゆっくり達が、人間の家に御呼ばれされているらしいと聞いたからだ。 これは聞き間違いだったが、友達の欲しいアリスには効果が抜群だった。 自分が人里に下りて人と仲良くする光景を想像する。 そんな光景に、アリスの心は激しく踊った。 翌日、ワクワクしながら街へ向かう三匹。 ようやく目的の街へ着いた時には、太陽が真上に昇りかけた頃だった。 「すごくひとがいっぱい」 「スゴォイネー」 「イッパーイダネ」 人里に下りると、沢山の人たちがひっきりなしに動いている。 初めての街、多い人、賑やかな空気、どれもこれも初めてな三匹は目を輝かせて驚いた。 しかし、三匹に誰も見向きもしない。 自分をかまってくれる人もいない、自分から動いてみることにする。 「でも、みんなゆっくりしてないね。アリスたちでゆっくりさせてあげようか?」 「ゥン」 「イイヨー」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 大声で叫ぶ、ちょっと恥ずかしかったアリスだが、人と仲良くなろうとちょっとだけ勇気を出してみた。 …………。 ちらちらと振り向く人は何人かいたが、振り向くだけでみんな直ぐに通しすぎてしまう。 がっかりするゆっくりアリス。 「なんでいそいでるんだろ?」 「シャンハイワカラナィ?」 「ホラーイモワカンナーイ?」 「おなかすいたね」 「ォヒルマダタベテナィ」 「オヒルタベターイ」 ぐるっと辺りを見回す三匹、すると近くの屋台からから、美味しそうな匂いが漂ってきた。 「あそこからいいにおいがするね!」 「ィィニォーイ!」 「タベターイ!」 急いで屋台に駆け寄っていく三匹。 「おやねがついてるね?」 「デモ、カベガァナイヨォ」 「ダイガタカーイヨ」 初めて見る屋台、少し警戒したが食欲には勝てない。 勢い良く跳躍。 「おいしそうのみーつけた♪」 屋台の上に上がると、匂いの正体であるから揚げが目に入った。 時間はちょうどお昼時、山積みになった大量のから揚げは、人間でなくても食欲を掻き立てる。 「おいしそう! これだけあればゆっくりたべれるね!!」 「ユックリィデキルネェ」 「イタダキマース」 山盛り一杯のから揚げを美味しそうにほおばる三匹。 「おいしい! とってもおいしい!!」 「ホォラィ、ァーン」 「オイシイー、シャンハーイモアーン」 「ォィシィネ」 「ネー」 ボロボロと、涎や食べかすを口からこぼしながら食べる三匹。 店の主人は何処に行っているようでここには居ない。 「ホカノダィニモ、タクサンノッテルゥ」 「イーロイロオイシソーオ」 「こんなにおいしいのに、みんなきづかないのかな?」 「ミィンナ、ィソィデユックリシテナィカラ、キヅカナイノカナ?」 「ゆっくりすれば、おいしいたべものもいっぱいおちてるのにね」 「ネー」 「こんなばしょにかくれてるから、みんなみつけられないのかな」 「ソォウダネェ」 「ダネー」 気付かないわけではない、今ここでは屋台市が開かれようとしていた。 もちろん、まだ始まっていないので誰も屋台には来ない。 店主達は、出展許可証を貰いに行ってここには居ない。 それだけの事だった。 「ここにおちてるたべもの、みんなにだしたら、みんなもゆっくりできるかな?」 「デキィルヨ!」 「アリスー、アタマイー!」 「あたりまえだよ。ありすは、とかいそだちだもん♪」 えへんと、得意げなゆっくりアリスそれでもから揚げを食べる口は休めない。 一皿を粗方食べつくすと、三匹で隣の皿に移動する。 「みんなといっしょにゆっくりしようね!!!」 「シィヨウネ」 「ネー」 「いくよ」 「ゥン」 「ウーン」 ガッシャーン シャンハイとホラーイが皿をちょこっと持ち上げ、それをアリスが落とす。 勢い良く地面に転がるから揚げと、散乱する皿の破片。 「はやくほかのたべものもおとしてあげよう」 「ゥン」 「ハーイ」 次々に落とされるたべもの。 勢い余って屋台も壊している。 途中からじれったくなった三匹は、段々と雑に落とすようになっていた。 箱に入っているものは箱ごと落とす。 汁物が入っている鍋は揺らしてぶちまける。 その、光景に呆然と立ち尽くす人々。 ずらっと円形に円形に並んでいる屋台、屋台越しに移動する。 「アリスー」 「コッチモ、ィッパィアルヨ」 「ゆっくりたべてもらおうね!!」 「アリスーコーレハ」 「ゆ! これはとくにおいしそうだかから。みつけたありすたちでたべよう」 「ゥンソウシヨゥ」 しばらくして、市中の食べ物をひっくり返し終わった三匹。 食べ物ではないほかの屋台もひっくり返していたが、知能の低いゆっくりは気が付かなかった。 ガラス品や瀬戸物の屋台は、勢い良く着地した反動だけでもぐしゃぐしゃになった。 掛け軸の屋台も同様、葉っぱ同様に突破する三匹は難なく破り落とす。 閉じているものも地面に落とされ、料理の汁を吸って無残な状態に成り果てた。 「おわったね」 「ォワッター」 「オワータラオナカスイター」 「たべよっか?」 「「「ゆっくりいただきまーす」」」 意気揚々と地面に落としたものを食べ始める、自分達が普段こうやって食べているので人も同じだと考えたようだ。 「おい!お前達!俺の屋台でなにしてくれるんだ!!!」 一人の男が近寄ってきた。 彼は最初のから揚げ屋台の男なのだが、そのことは三匹も知らない。 いや、三匹は初めて声をかけてもらえた事で随分と喜んでいるようだ。 特にゆっくりアリスは、自分にも人と話すことが出来たことで非常に興奮していた。 「あっありすが、たべものいっぱいみつけたんだよ! おっ、おじさんもゆっくりしていってね!!!」 「ィッショニタベヨゥ」 「タベヨー」 「おじさん!! こっ、これおいしいよ♪」 ちょっと緊張してしどろもどろになりながら、近くに転がっていた食べ物を、パクッと口にくわえて男の足元に持ってくる。 地面に転がり埃まみれの上、ゆっくりの涎まみれになっていたそれは、間違いなくあのから揚げだった。 「ユックリダベヨォネ」 「コレモオーシーヨ」 同じく、散らばった田楽、トン汁の里芋を両手で掴んで男の本へ持っていくシャンハイとホーライ。 二匹も、初めて人と話が出来て楽しそうだ。 「……」 しかし男は、黙ったままプルプルと震えているだけだ。 「ゆ? ……おっおいしいよ。みっみんなもゆっくりしようね!!!」 こんどは違う女性に食べ物を運んでいく、今度はうなぎの蒲焼だった。 「これも、すっごくおいしいよ!!! ゆっくりたべてね!!!」 「……」 また無言、同じ反応だった。 「ユックリシヨゥ」 「ユークリデキルヨ」 「ゆっくりしていtt 「うるせー!」」 「「「!!!」」」 「お前らが好き勝手に遊んだ所為でこっちは商売上がったりなんだよ!」 「どうしてくれるんだい!」 「人が折角親切にしてやってたのに」 「やっぱり最初に来た時に追い返せばよかったぜ」 四方から浴びせられる罵倒、話の内容は分からなかったが、自分が何かいけないことをした事は気付いたようだ。 「ゆ! ごめんなさい!!! そうだ、しゃんはい、ほーらい、あれをあげよう」 急いで、円の中心部にあった屋台に向かう。 そこにあったのは四つの屋台、うち三つは、特に高そうな花瓶や壷が売られていた。 それも、躊躇なく倒す三匹。 三匹にとって、石を倒した位にしか思っていないだろう、これで整然としている屋台は一つになった。 それは、とても美味しそうだったので、自分達で食べようと思って取っておいた屋台。 高そうな、霜降りの牛肉が沢山並んだ屋台。 その荷台も同じようにひっくり返し、地面に落とす。 その中でも一番高そうな、ゆっくり達にしてみれば美味しそうな、一塊の肉を加えて戻る。 シャンハイたちも、次に美味しそうなものを持ってくる。 だがどちらも、肉が大きくて重いのだ。 アリスが運ぶと地面を摺り重さで千切れる、その度になんども噛み直す。 シャンハイ達が飛びながら運ぶと、今度は重さで肉が伸び、耐え切れなくなって落とす。 そんな光景が最後まで続いたのは、それがモノの二分程度で終わった事と、完全に屋台市を破壊され人々が呆然としていたからだ。 あの高級な肉は、運び終わった頃には、全体に噛み跡がある土まみれの肉に様変わりしていた。 「ごめんなさい。あやまるから、みんなでゆっくりしようね!!! こっ、これもおいしいよ!!!」 そういって肉を加えて男の前に置く。 「ほんとはありすがたべようとおもったけど、おじさんたちにあげるね♪」 「ゴメンナァサィ。コレシャンハィノダケェド、タベティィヨォ」 「ゴメンナサーイ。ホーライノモタベテイーヨ」 微笑みながら差し出す、これだけいいお肉を出せば喜んでもらえると思った。 だが実際は、火薬庫に火種が入っただけだったが。 「ふっざけるなぁ!!!」 男の足がアリスを捕らえる、そのまま後ろに吹っ飛ばされる。 「ゆゆっ! いたいよ! やめてよ!」 「アリスダィジョォブ?」 「アリスイタガテールヨ!」 人々は意に返さず、アリスたちに詰め寄っていく。 「ゆ゛!」 それは、アリスたちからみれば大きな壁のように見えた。 「ゆっぐりじないんだったら、ありすもうかえる! そっちからさそわれたってもうこないから!!!」 「アリス、ハヤクカエロォ!」 「カエーテ、サンニンデユクゥーリシヨー!」 そうは言ったものの、既に前面壁となっており、三人が出て行くスペースはない。 「おじさん、とおして!!! ありすもうかえるんだから!!!」 「トォシテ!!!」 「トーシテ!!!」 そういってズンズンと近づいてくる三匹、直ぐに蹴り返される。 それが合図になった。 落下地点で蹴られる、また次の落下地点で蹴られる。 もはや三匹はボールと化し、痛みと浮遊感しか感じていなかった。 「ごめんなざい。なんでもするがらゆるしてくだざい!!!」 「ユゥルジデ!!!」 「ゴメンナザーイ!!!」 人々も、何時までもこうしていては埒があかないと思ったのだろう。 直ぐに蹴りは収まり、代わりにここを掃除しろといわれた。 「なんで? ぜっがくよういじであげだのに、なんでみんなだべでぐれないの?」 「ガンバッテ、モォッテキタノニィ!」 「オイシーヨ、クサーテナイヨ!」 「人はテーブルの上で食うんだよ!! 地面に落としたのなんかゴミなんだよ!!」 それ以上の質問を許さず、作業を始めさせる。 大きな物体は人が運ぶしかないので、地面に散らばった残飯を綺麗に掃かせた。 シャンハイとホーライは、散らばっていた角材をモップ代わりにしたが、アリスは手足がない。 暫くぼうっとしていると、急に体を押された、それに付随して散らばった残飯も一緒に進んでいく。 「ゆゆっ! やめで、からだがよごれじゃうよ。やめでよぉ!」 「こうすればできるだろ」 それだけ言って一発蹴られた、直ぐに掃除を始めるゆっくりアリス。 もちろん自分の体をモップ代わりにしてだ。 「ゆっ!? いだい! いだいよ!」 ガラス片か瀬戸物の破片が刺さったのだろうか、途中で何度も絶叫するアリス。 それが何なのは分からなかったが、止まるとまた蹴られるので急いで掃除に戻る。 「い゛だい゛よ゛ー! ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ー!」 片付けていく残飯の中に、売られていない餡子が混ざり始めた。 「ァリス、ァトチョットダカラガンバッテェ」 「モースグオワルカーラ」 「ゆ゛っぐり゛ざぜでーー!!!」 結局、掃除が終わったのは夕刻を過ぎた後だった。 全身傷だらけになったゆっくりアリスは、文字通り蹴り出されて村を後にする。 ひとはやばんだから、もうぜったいにいかない。 家に戻って、二匹に傷を手入れしてもらっている最中に二人に話しかけるゆっくりアリス。 二匹も当然と言った感じで答えた。 「ニンゲン、コワァカッタネェ」 「ゼンゼン、ユックリサセテクレナカータネ」 破片を全て抜き終えたあと。 都会派らしく、痛がりながらも近くの川で汚れを落とした。 その後、何時もよりギュッと寄り添って三匹は眠りに着いた。 翌日、昨日の傷の所為で遅くまで寝ていたアリスだったが、外で自分を呼ぶ声が聞こえたので、外に出た。 一日寝て、傷は大分良くなったようだ。 「まりさ!れいむ!ぱちぇりー!」 そこにいたのはアリスが一緒に遊んでいるらしい、あの三匹だった。 「みんなどうしたの?」 「これからみんなで、まちにいくの!」 「むきゅー!」 「いつもさんにんでいってたの、そうしたらこのまえ、おじさんがみんなといっしょにおいでっていってくれたの」 「れいむも、おかあさんたちといっしょにいくよ!!」 少し視線をずらすと、ゆっくり霊夢の家族が見えた、全部で15匹位だろうか。 他にも、時々三匹と一緒に遊んでいる、ゆっくり達、ゆっくりアリスが知っている友人も、知らないゆっくりもそこには居た。 「ありすもいっしょにまちにいこう!」 「ゆっくりできるよ」 「……うん、いっしょにいこう」 「ァリス、ィイノォー?」 「マタ、マチニイクノー?」 「うん、せっかくおともだちがさそってくれたんだもの。ひとづきあいをだいじにするのも、とかいはのすることなの!」 「ワカッタァ」 「ワカッター」 大勢のゆっくりで街に向かって歩いていく。 その列の、一番後ろに居たアリス達、途中で三匹が得意そうに説明するのを聞いて、ようやく昨日自分達がした事の間違えに気付いた。 ようやく街に着いた一行だが、今日の街はガランとしていた。 「おうちぐるま、あんまりでてないねー」 「ちがうよれいむ、やたいっていうんだよ」 「そうだったね! でもでてないねー」 「むきゅー? ひともすくないよ」 不思議がる霊夢達。 それはそうだ屋台の殆どは未だ修理中なのだから。 「あ、おじさんのやたいあった」 いち早く、それを見つけたゆっくり魔理沙と霊夢が近寄っていく。 一行も後に続く。 「おじさん、やくそくどおりみんなつれてきたよ!!」 「みんなでゆっくりさせてもらうよ!!」 「「いつものからあげちょうだい!!!」」 「ふざけんな! まためちゃくちゃにしに来たのか?」 そう言って二匹を蹴り飛ばす、直ぐ後ろに来ていたゆっくり達にぶつかったため、あまり飛ばされなかった。 「ゆっ!? おじさんどうしたの。いたいよ!」 「いたいよ。おじさん!!! いつもまりさたちにからあげくれてたんだよ!!!」 「うるせい! 今まで好意でくれてやってたのに。こっちは昨日大変だったんだぞ!」 そうして、怒鳴り散らす男、騒ぎを聞きつけてゆっくり達の周りには大きな人だかりができていた。 「そんなわけないよ。ありすはとかいはのゆっくりだもの!!!」 「それはちがうところのゆっくりだよ、ありすがそんなことするわけないよ!!!」 「むきゅー!」 それを聞いて霊夢達が反論する。これがいけなかった。 「やっぱりお前らグルだったのか! 昨日の仕返しにきたんだろ!」 昨日と同様に人の壁に囲まれたゆっくり達。 ただ昨日と違うのは、今日の人たちはそれぞれ鍬や鋤をもっていた事だった。 「ゆ゛ー!!!」 一匹のゆっくり霊夢の子供に鋤がっ刺さった、その直後、絶命した。 「あまり乱暴にするな、こいつらの餡子は高く売れるんだから!」 「ゆっくりにげてね!!!」 母親のゆっくり霊夢が子供を逃がす、混乱しているがどうにか意味は理解したらしい。 アリの子を散らすように逃げていく。 「わかるよわかるy!よーーー!!!」 「!!! ちーんぽ!!」 「うっう~♪ う゛ーーー!!!」 「ゆっくりしね! ゆっくりしn、しんじゃうよー!!!」 お母さんゆっくりも何時ものように子を守ろうと前に出るが、ゆっくり相手とはわけが違う。 あっという間にボロボロになる。 「ゆ~!!ゆ”ーーー!!!」 「こいつは餡が固そうだ」 近くの川に流されるお母さんゆっくり、その直前に見た景色は、自分の子供達全員が捕まった所だった。 「はやくにげないとゆっくりできないよ!」 「おがあざん!おがあざん!」 「むきゅ~」 ゆっくりアリスと数人のゆっくり達は逃げていた。 おそらく、今捕まっていないのは自分達だけだ。 まだ街を抜けるまで随分とかかる。 それでも、走るしかなかった。 必死に必死に走った、息が上がろうがゆっくしできなかろうが走った。 ようやく、一番近かった霊夢の家に飛び込んだ時には全員息が上がっていた。 アリスは、昨日自分がした事が間違っていたことに気付いていた。 しかし、親切でやったのにこんなに怒るなんて、人はやっぱりこわい。 これが今の彼女の心情だった。 「ここまでくればゆっくりできるね」 ゆっくりアリスが尋ねる、返事が無い。 息が上がって話せないのかと思い直して振り向く、確かに息が上がっていた。 ただし、そこに居たのはとシャンハイとホーライだけだった。 「みんな、み゛ん゛な゛。うっ、ぐす、ゆっぐりじだがったよー」 シャンハイもホーライも泣いていた、息が上っている為声が出なかっただけだ。 その後、一日待って戻ってきたのは傷だらけのおかあさんゆっくりだけだった。 広い広い森の中、沢山のゆっくりが住んでいたその一帯は、今やたった四匹のゆっくりしか住んでいなかった。 Please waiting next Story.
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生ゆっくりジュース 朝早く出かけた魔法の森で、捕まえたゆっくりをその場で調理する。 ゆっくりと近づいて 「ゆっくりしていってね!!」 とにっこりと挨拶すると、簡単によってくる。(人間の怖さを知っていて逃げ出すものも多い) しかし基本的に非力で天敵が多く、臆病なので探し出すまでに苦労するだろう。 調理は、手動ドリルで孔を開けて、ストローで濃厚な生餡子を味わう。 孔を空ける時に 「ゆ"ゆ"ゆ"ゆっくりぃい"い"い"!!!」 とジダバタもがいてうるさいのでガムテープで口に張っておく。 こうすると 「むぐぐぐぐぐ!!」としか言わない。 1/3以上中身を吸い出すと死ぬので、その前にやめて孔をふさいでおく。 目安は白目をむいて 「ゆ"っゆ"っゆ"っ」と細かく震え始めたら危険信号。 孔をふさいで手当てしてやったら、後は逃がしてやる。 一ヶ月もすれば中の餡子は元通り回復する。 更にゆっくりは知能が低いので、された事もほとんど忘れてしまう。 生まんこはとても美味しいのでゆっくり味わってね!
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前 【寝室】 「ゆ、あしおとがきこえてきたわ!」 「しずかにして!」 「まりさ、ありすこわいわ…」 「だいじょうぶだよ、ありすはまりさがまもるよ!」 「ありがとう、まりさ」 「…ありす、このいえからぶじにでられたら…その…わたしとずっとゆっくりしないか?」 「まりさ…ありすうれしいよ!」 「ありがとうありす!もっとおおきくなったらこどももつくろうね!!」 「うん、いっぱいつくろうね!」 ここは寝室だ。 といってもいつも使ってるわけじゃない。 リビングや書斎のソファーで寝ることが多いのでベット、つまり寝室で寝ることがあまりない。 大抵パソコンの作業中に寝落ち、書斎で本読んでて寝落ちのどちらかだ。 あまり物がないのでゆっくりのかくれる場所も少ないだろう。 だが物と物の小さな隙間にいるゆっくりをいちいち倒すのは手間がかかる。 そこでキッチンで手に入れた物の出番というわけだ。 俺は袋からある物体をいくつも取り出すと部屋の中心に置いた。 「あーあ、この部屋にはゆっくりはいないみたいだなー。よーし次の部屋に行くぞー」 台詞を棒読みし部屋の外に出る。 そして息を殺し中の様子を聞き耳を立てて窺う。 「ゆっゆっゆー!おじさんがばかでたすかったね!!」 「まりしゃたちかんぺきにかくれてたもんねー!!」 「ゆゆ!みてみて!!おかしがあるよ!!」 「おじさんおとしていったんだね!!ほんとうにばかだね!!!」 「れいみゅたちがみちゅけたからこれはれいみゅたちのものだね!!」 「まっしろのまんじゅうがあるよ!!!ふにふにしてておいしそう♪」 「ぜりーがあるよ!!きらきらしてておほしさまみたい♪」 「ゆっくちたべるよ!!」 「むーしゃ、むーしゃ、う~ん、ち・あ・わ・せ~♪」 「ハム、ハフッ、これうめえぇ!!」 聞こえてきたのは赤ゆっくりの声。 馬鹿め!落ちてるものを食べてはいけないって習わなかったのか! 習わないよな~だってゆっくりだもん。 作戦が上手くいったことに安堵する。 まあ成功するとは思ってたけどね。 だが中には少し頭の回るゆっくりがいたようだ。 「ちょっとまつんだぜ!そのおかしはたべちゃだめなんだぜ!!」 「ゆゆゆ!これはれいみゅたちがみつけたものだからあげないよ!!」 「やっぱりまりさはごみくずだね!おかしをひとりいじめしようとしてるよ!!!」 「おかーしゃん、あのごみくじゅをおいはらってよぉ、ゆっくちできないよう!!!」 頭のいいまりさが苦戦してますな。 おっと、これはつがいの登場か? 「まりさのいってることはほんとうよ!とかいはのありすがいうんだからまちがいないわ!!」 「ありすだー!!!れいぱーのありすだー!!!!」 「みんなにげてー!ありすにれいーぷされちゃうよー!!!」 「おおとかいはとかいは(笑)」 「ごみくずとれいぱーのつがいってごみどおしでふさわしいね!!!」 「わかるよー!ごみくずとれいぱーだねー!!」 「ちーんぽ!ちーんぽ!」 ほうほう、まりさとありすのつがいかぁ。 いいねアリマリ。お兄さんもジャスティスだと思うよ。 でもゆっくりだとゴミクズとレイパーなんだね。 きっと元ネタの本人たちは事実を知ったら黙ってないと思うよ。 「ほら、これをみて!!ごきぶりさんがこれとおなじまんじゅうをたべてしんでるわ!!」 「こっちにはぜりーがくちについてしんでるごきぶりがいたぜ!!」 「「「ゆゆゆ゛ゆ゛!!!!」」」 あちゃー。 部屋に仕掛けていたのが見つかったか。 つかそんなにゴキブリの死骸あったのかよ!今度から掃除はちゃんとしよう… しかしこのアリマリがフルボッコにされるのを見ようかと思ったけど俺の想像以上に頭がいいんだな。 さてどういう展開になるか…? 「でもゆっくりにはきかないかもよ!!」 「たべてもだいじょうぶだねーわかるよー!!」 「れいみゅたちはつよいからきかないよ!!」 「ねー!!!」 「わたしたちをだまそうとしたごみくずとれいぱーにはおかしはあげないよ!!」 「そこでゆっくりおかしをたべるかわいいれいみゅたちのすがたをみていてね!!」 馬鹿だー!!こいつらもっと馬鹿だったー!!! 思わず吹き出しそうになる。 だいたい自分には毒が効かないとかどこからくる自信なんだよ。 せっかくのジャスティスの忠告を無視し食べだす他のゆっくり。 さてそろそろ毒が回り始めるころかな… 「ゆゆ!あかちゃんどうしたの?まだまだいっぱいあるよ?」 「ゆ゛ゆ゛ゆゆ…な゛んがぎもぢわるい…」 「ぢ…ぢんぼおおおおお…」 「…う゛っぼえええええええええ!!!!」 「…ぶっ!ぶぅううげろげろげろ!!!!」 「れ゛、れ゛いむ゛のあがぢゃんがああああああああああ!!!!…ああぅ…うぐっげええええええぇぇぇぇぇ!!!!」 「あんこをはいたらしんじゃうよ!!ゆっくりがまんしてね!!!ゆっぐり…がまん…じで……うえっげろげろげろおおおおお!!!!」 一匹の赤ちゃんの嘔吐をきっかけに他のゆっくりも吐き出す。 貰いゲロ状態だ。よく小学校の遠足バスでこんなことあったなあ、懐かしい。 毒の回りも確認したしそろそろ入るか。 「うわ!きたねえ!」 扉を開けるとそこは一面餡子の海だった。 和菓子工場でも勤めない限りこんな光景を見ることはないだろう。 それにしてもここを掃除するのが俺だと思うとこの作戦はある意味失敗なんじゃないかという気がしてきた。 「お、おに゛いざんれ゛いむ゛のあがぢゃんをだずげで……」 「ぐ、ぐるじぃよぉ…うぇ、げええええぇぇぇぇ!」 「わがらないいい!わ・が・ら・ないうぶぅ!ぼえええええええぇぇぇ!!」 「はいはい君たちはゆっくり死んでねー」 擦り寄ってくる親ゆっくりを蹴飛ばし足元にいる赤ちゃんゆっくりを踏みつけ目的のアリマリジャスティスを探す。 …見当たらないということはどこかに隠れている。 あの声からして結構な大きさだから隠れる事ができるのは…ここか! 俺は箪笥の裏側から殺虫剤を撒く。ジェット式のやつだ。 数秒たって目的のゆっくりは反対側から2匹寄り添うように現れた。 「げほっ!げほっ!…」 「ありすしっかりして!」 ジャスティス登場。 殺虫剤があまり届かなかったようで咳をしているが命に別状はないようだ。 さて虐めちゃおうかねえ。 ゆっくりに踏み出したその時… 「ゆゆっ!ありすにはゆびいっぽんふれさせないぜ!!」 へぇ、ゴミクズにしてはいい根性だ。 お兄さん感動して涙が出てくるよ。 でもね、力の差というものは理解して立ち向かったほうがいいと思うんだ。 俺は持っていたもう一つの氷結タイプの殺虫剤をまりさに吹きかけた。 「ゆゆううううちべたいいいいい!!!……ゆゆっ!!うごけないよ!!どうして!!???」 まりさの足を凍らせて動きを封じる。 最近の科学の力はすばらしいな。 とりあえずそこでゆっくり見ていてくれたまえ、まりさ。 俺は無防備なありすを手に取る。 「きたないいなかもののてでさわらないで!ゆっくりはなしてね!」 「ありすをはなせー!!ころすならまりさをころせー!!!」 うるさいのでまりさの顔面にもう一回スプレーをかける。 口が凍りついたようで静かになった。 「さて、邪魔者が静かになったし、お兄さんと『すっきりー♪』しようか?」 「いやよ!!ありすははじめてはまりさってきめてゆゆっ!…」 言い終わる前にアリスをシェイクし始める。 こうすると発情しだすってスレに書いてあったな。 「どうだありす、お兄さんのぶるぶるは?気持ちいいか?」 「ふ、ふん!だれがおじさんですっきりするもんですかっ!!」 「ふふふ、そう粋がってられるのも今のうちだぜ…それっマグニチュード8!」 「ゆゆゆゆゆゆっ!!」 『マグニチュード8』とは? 充実した自家発電のために10年かけて鍛え上げた必殺技である。 1秒間に20振動しその快感は機器に勝るとも劣らないと評価されている(自己評価) なお、右手でも左手でも使用可能である。 「どうだっ!お兄さんの必殺技は?気持ちいいだろう?」 「ゆゆうううううううっ!そんなにいきなりはげしくしたらありすこわれちゃうよおぉぉぉ!!」 「どうなの?ありすちゃん、イキそうなの?まりさのまえですっきりしちゃうの?」 「ん゛っぅぅぅう゛う゛ううむ゛む゛むほほおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 「んーがんばるねえ…でももう無理そうだね。まりさ、よくみててね。ありすちゃんがお兄さんの手ですっきりしちゃうところゆっくりみててね!!」 「ん゛-!ん゛ー!!!」 まりさはまだ口の氷は溶けないようで何言ってるかわからない。 「ほーら、『すっきりー♪』しようねー」 「ん゛ほおおおおおおおおおごめんねええごめんねええま゛り゛ざああああありすおじさんですっきりーじぢゃう゛う゛うううじだぐないのにしじゃううううううう!!!!!」 「イクところまりさによく見せようねー」 「らめ゛え゛ええええええ!ま゛り゛ざみちゃらめええええ!!!!ん゛ほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおすっぎりいいいいいぃぃぃぃ!!!!!!!」 「…!!!!」 まりさの目の前でありすは甘ったるい餡子汁を激しく垂れ流しながらイった。 ありすは焦点のあってない目でまりさを見つめている。 「1分ももたないとは淫乱だなあ、ありすは。もしかして他のゆっくりともヤりまくりだったんじゃないの?」 「!!!」 まりさの目が反応する。 ゆっくりの中でもレイパーとして名高いアリス種である。 まりさに出会う前に他のゆっくりと既に『すっきりー♪』している可能性はないとは言えない。 そんなまりさの考えを読み取ったのかありすが必死の否定をする。 「ち、ちがうわよおおお!ほかのゆっくりとすっきりしたことないよおおおしんじでよおおおぉおぉま゛りざああああぁぁ!!!!」 間髪要れずに俺が繋げる。 「じゃあ30秒だ!30秒もったらありすの言う事を信じよう。でも30秒もたなかったらありすは他のゆっくりとヤりまくった淫乱、それでいいね!」 「ゆゆゆっ!ありすはそんなのんんあああんっ!!!!」 ありすの反論をお構いなしに振動を始める。 「ん゛ん゛んんうううううぅぅぅぅうっ!!!!!!」 「どうした?10秒たってないのにもうびちゃびちゃになってきたぞ?」 「ん゛ん゛んほう゛ぅぅぅうぅん゛ん゛んんん!!!!!!」 「うりうり♪ここがいいのかなぁ~?」 一色ヒカルを真似てみる…無理があった。 ぐっと歯を食いしばり快楽に抵抗するありす。 だが俺はそれをあざ笑うかのように産道付近を指で刺激する。 「んんん゛!んんん゛ほぉぉおおん゛ん゛んほおおおぉぉぉ!!!!!!」 「ほ~ら、イっちゃえっ♪」 イっちゃだめなのに、まりさがみてるのに、おじさんのてなのに、くやしいのに、かんじちゃうよぉおおおおおおおお 「んほおおおおおおぉぉぉ!!!ありすイっぢゃうううううううう!!いんらんじゃないのにイっぢゃううううう!!!んほおおおすっきりいいいいいいいいいすっきりいいいいいいいいい!!!!!!」 「あ、あ゛りずううううううぅぅぅぅ!!!!」 「20秒か…やっぱありす種は淫乱だな」 ありすは体をビクビク痙攣させながら早くも本日2回目のすっきりタイムを迎えていた。 そのアヘ顔で淫乱じゃないとか言われても説得力がない。 夏場の気温のせいでまりさの口の氷ももう解けたようだ。 「さて、ここからは2人の時間だよ。2人でゆっくり『すっきり』していってね♪」 ありすをまりさの目の前においてやる。 「ま、まりざぁ…」 「や、やめてね!いまのありすはゆっくりこっちにこないでね!!」 ありすは正気を失い、ありす種としての本能の赴くままに生殖行為するだけの機械になった。 このまりさのほうがありすよりも強いがそれはありすが普通の状態である場合だ。 リミッターのはずれたありすは普通のゆっくりでは止められなくなる。 しかもまりさは未だ足を凍らされている。 戦って勝つこともできなければ逃げる事もできないのだ。 ありすはゆっくりとまりさに近づく。 「ま・り・さ~…あいしてるわ~…」 「まりさもありすのことあいしてるよ!でもいまはこっちにこないでね!!!」 「どうして~…?あいしあってたらすることがあるでしょう~…?」 「しっかりしてね!!ゆっくりもとのやさしいとかいはのありすにもどってね!!!」 そんなまりさの願いも今のありすには届かない 「ま゛りざあああああああすっぎりじようううねええええええええ!!!!!!!」 「いやああああああああああ!!!だずげでえええええええええええええ!!!!」 「ま゛りざ!ま゛りざ!このすべすべのはだもさらさらのかみもだいずぎよおおおおおおおおおいっしょにいっばいずっぎりしようねええええ!!!!」 「いやだあああああああ!!!!まだこどもう゛め゛ないよおおおおお!!!う゛ん゛だらしんじゃうよおおおおおおぉぉ!!!」 そう、彼女たちはまだ成熟体ではない。 成熟体ではないゆっくりどうしの交尾は命を落とす事になる。 冷静な状態のありすなら自重できるだろうが…今のありすは俺の手によって極限まで興奮した獣だ。 「だいじょうぶ!!あ゛りすがま゛り゛ざのこどものめんどうみるからね!!め゛んどうみてすっきりするからね!!!!」 「ああああああああ!!!どぼじでえぇぇぇどぼじでごんなごどにいいいいいぃぃ!!!!!!」 「イぐよぉぉぉ!!!!あ゛りすイぐよおおおぉぉ!!!!ありずのあがぢゃんいっばいはらんでねえぇぇぇぇぇ!!!!」 「いやああだああああぁぁ!!すっぎりじだぐないぃぃぃ!!!!すっぎりいやだああああああああああああぁぁ!!!!」 「ん゛ほお゛お゛おおおおおおおおおぉぉぉすっきりー♪」 「ゆ゛ゆ゛うううううううううぅぅぅすっきりー…」 美しきかなアリマリ。 こいつら…といってもまりさは死んだみたいだしありすか。 このありすは利用価値がありそうなので今はもう使っていない水槽に元まりさだったものと一緒に抛り込んだ。 このまま持ち歩くと他のゆっくりがすぐ逃げ出してしまうから上から半纏をかけ隠した。 これだけの作業をしたのに死んだまりさを犯すのに夢中なありすの反応は全くなかった。 【書斎】 「むっ!きゅっ!きゅー!むっ!きゅっ!きゅー!」 「ゆっくりがんばってね!ぱちゅりー!!…んんん!?」 「むっきゅ?どうしたのまりさ?」 「まりさもきた……」 ここは書斎だ。書斎といってもある本は漫画かラノベか同人誌だ。 小難しい本は一冊も置いてない。 ここは整頓されているから隠れるところもないだろう。ざっと見るだけで終わろう。 ―ガチャ― 「うわ!でけえ!」 テーブルの上には今までの中で一番大きいまりさとぱちゅりーが仲良く鎮座していた。 しかもお腹のあたりが蠢いている。これはもしかすると… 「ここはまりさたちのおうちだよ!!まりさたちはこれからこどもうむんだからでていってね!!」 産みながら喋られるとすげえ腹が立つ。キモイどころかグロイ。 まりさとぱちゅりー以外にゆっくりが見当たらないところを見ると大方このように威嚇して追い出したんだろう。 だが、こんな面白いもの放っておく訳にはいかないな。 「お兄さんゆっくりここで見ていくね!」 「ゆゆゆ!まりさのいうことがわからないの!?おじさんばかなの!?」 「むきゅ、まりさおちついて…ゆっくりしたこがうめなくなるよ!!」 「ゆゆっ!それはこまるぜ!しかたがないからこのままゆっくりうむよ!!」 「ゆっ!ゆっ!ゆー!」 「むっ!きゅっ!きゅー!」 ゆっくりもラマーズ法使うんだ。俺驚いたよ。大発見だ。 でもこのお腹から出てくるのってどっかでみたよな。 そうだ、あれだよ。これこれ。懐かしいな。この部屋に飾りっぱなしだったか。 ゆっくりたちは出産に精一杯で俺が手元に何を持ってるのか気付いていない。悪戯心が俺に芽生える。 「ゆっぎぎぎぎぎう、うまれるよぱちゅりいいいいいぃぃぃま゛りさのあがぢゃんよくみててねぇぇゆっ!!!」 「むぎゅううん、わかったわぁぁぁ!!!!」 スポーン…コロコロ 「ゆ、ゆっくりちて『これがワイのワイルドワイバーンや!!』ぷぎゅ!!」 お決まりの台詞を言う前に俺がお決まりの台詞とともワイルドワイバーンで狙撃する。 光る球が一瞬にして赤ちゃんまりさの命を奪った。 帽子だけが悲しくその場に残った。 「ああああああまりざのあがぢゃんがああああああ!!!!」 「むぎゅううううううううんん!!!!!」 「あーごめん、手が滑っちゃった!ゆっくり続きを産んでね!!」 「あがぢゃんででごないでええええ!!もっとおなかのなかでゆっぐりじでいっでええええ!!」 「むぎゅううん!!いまうまれたらしんじゃうわああああ!!!」 にんっしんしてるゆっくりは危機感が強いのか分からないが赤ちゃんが俺に殺されると予想した。 その通りだから否定もしないけどね。でもどうせこいつら動けないみたいだし。 ゆっくりたちは必死に出産を遅らそうと堪えている。 一度始まった出産は意識だけでどうにかなるようなものではない。 ましてや根性のないゆっくりだ。すぐに限界が来ていた。 「次の赤ちゃんマダー?チンチン!」 「ゆっぎいぃぃぐぐぐぐぐぐぐうううう!!!まりざのあがぢゃんまだでちゃだめええええぇぇぇ!!」 「ま、まりさあああもうだめええええうまれるううう!!!ぱぢゅりーのあがぢゃんう゛まれぢゃうううううっぅ!!!!ゆっ!!」 貧弱なぱちゅりーが先に我慢の限界に来た。 スポーン…コロコロ 「ゆっくちちていってね!」 ぱちゅりーが1匹 スポーン…コロコロ 「ゆ、ゆっくちちていっちぇね!」 まりさが1匹 スポーン…コロコロ 「…みゅきゅ~ん、ゆっくちちていくわ!」 ぱちゅりーが2匹 どんどん出てくるな。 俺は赤ちゃんたちにお母さんの出産が良く見えるように、生まれた子がよくわかるように横一列に並べる。 生まれた子達の可愛さにさっきの俺の所業をもう忘れたのかまりさたちはつかの間の幸せに浸っていた。 「ぱちゅりーすごいよ!みんなゆっくりとしたいいこだよ!!!」 まりさも怒りを忘れて喜んでいる。 「ゆー!はじめましちぇ!」 「ゆゆ、よろちくねぇ!」 「ゆっくりちていくね!!」 「おにゃかしゅいたよ~!」 「つぎでさいごだよおおおおおおおぉぉぉぉむきゅん!!!!!」 スポーン…コロコロ 「ゆっくりちていってね!」 最後はまりさ種だ 「まりさのいもうとがうまれちゃよ~!」 「かわいいねぇ~!」 「むきゅん!おねえさんよ!よろちくにぇ!」 「みんなしょろっておかあしゃんたちにあいしゃちゅしゅるよ!」 そして赤ゆっくりたち、まりさ種3匹ぱちゅりー種4匹の計7匹は隊列を整え両親に向かう。 これから共に生きていく両親に挨拶の意味を込めて。 もちろんいう言葉はひとつだ。 「「「しぇ~の、ゆっくりちてい『ビイイイイイイイイファイヤアアアアアアアアアア!!!!!!!』」」」 空気の読めない俺の声が赤ゆっくりの声を遮る。 その瞬間、高速の物体が通り過ぎ横一列に並んだ赤ちゃんゆっくりが一瞬にして消えた。 その場に残ったのは飛び散った餡子とそれぞれの帽子だけだ。 「おー!バトルフェニックスの威力は今も現役だねえ!!赤ちゃんゆっくり7匹が一撃だったよ!!!」 「むっぎゅううううううぅぅぅぅ!!!!!」 「よぐもおおおおおぉぉぉ!!!!よぐもばぢゅりーのあがぢゃんをごろじだなああああああああ!!!」 「うるさいなあ…冥土の土産に一つだけ君たちにいいことを教えてあげるよ!!」 「「ゆゆ゛!?」」 「さっきから言ってるけど俺、アリマリ派なんだよね」 その刹那ぱちゅりーの体を2つの球体が貫いた。 正体はケーニッヒケルベロス、バトルフェニックス同等の名機だ。 ゆっくりはドスなどの体が大きいもの以外は貫通に強い(体が大きくなると餡子の量が多くなり少量の傷でも勢いよく餡子が流れてしまう)はずだがこれはぱちゅりー種。 出産での体力低下もありあっけなく一撃で死んでしまった。 「ばぢゅりいいいいいいぃぃめをあげでよぉぉぉぉばぢゅりいいいいいいいいぃぃ!!!」 「さあて残ったまりさにはプレゼントをあげないとね」 「ゆゆっ!…ゆぎいいいいいぃぞんなのいらないよ!!ぱぢゅりーをがえじでね!!!」 …ゴミクズのくせに抵抗しやがる。 「あま~いものが入ってるよ?お兄さんかわいいまりさだけにあげたくてね、ぱちゅりーにはあげたくないから殺したんだよ?わかってくれる?」 「ゆゆゆ!…うううううううぎぎぎぎぃ!!それまりさもらうからお兄さんはあっちいってね!!もうまりさの『すぽーん』のじゃましないでね!!」 『すぽーん』? マントの男がどうかしたかと思ったら出産の事か。 …それにしてもやっぱりゴミクズだ。 貰える物は貰うらしい。意地汚い。 「はい、じゃああげるから『すっきりー♪』していってね!」 「ゆゆっ!!??」 そう言って俺は持ってきた水槽をテーブルの上にひっくり返す。 中から出てきたのはもちろんさっきのありすだ。黒ずんだ元まりさと生まれてすぐありすの強姦により死んだであろう元赤ちゃんまりさもいた。 「おじさん!ゆっくりだましたね!!!」 「嘘じゃないよな。中身はカスタードみたいだし」 「そこにいるは…まりさ!まりさなのおおおおお!!」 「ゆっぐりごないでねええええ!!!ま゛りざはにんっじんじでるのおおおおぉぉ!!!い゛ま゛すぽーんじでるのおおおおぉぉ!!!」 「ううぅぅぅ!ぼでばらのまりざもずぎよおおおお!!みんなあいじであげるがらゆっぐりうんでねえええぇぇ!!!」 「いやああああぁ!!!あがぢゃんでないでえぇえ!!!でだらおがざれるうううぅぅぅ!!!!!」 まりさがなかなか強情なので強制手段に入ることにした。 俺はビーダマンの要領でまりさの体を後ろから押す。 するとその刺激に抗えなくなったのかみるみる出産が始まる。 「らめえええぇええ!!でないでぇぇぇ!!もっとおなかのながでゆっぐりじでえぇぇぇ!!!」 スポーン…コロコロ 生まれた子がありすの前にはじき出される。 まりさ種だ。 「ゆゆ!ゆっくちできる?」 無邪気な瞳がありすに問いかける。 「ええ!いっしょに『すっきりー♪』しましょうね♪」 ありすの答えは明らかに意味が違っていた。 それから1匹1匹生まれるたびにまりさの目の前でありすに強姦され死んだ。 親まりさはもう目に光がなく、反応が虚ろになっていた。 「ゆううううう…これでさいごだよ…もう…まりさをゆっくりさせてね…」 「しんぱいしないで!!ありすがぜんぶあいしてあげるわ、まりさああああぁぁぁ!!」 スポーン 赤ちゃんは地面に着くより早くありすに捕まる。 「ハァハァ、すっぎりじようねぇえええええええ!!!!」 「だれこのひとぉぉぉ!!??ゆっぐぢでぎないよおおおおおおおおお!!!!おがあざんだずげでよおおおおぉぉ!!!」 もう何回も見た光景が目の前に繰り広げられている。 周りには黒ずんだ子供たちの残骸が散らばっている。 「イグよ!イぐよぉぉ!!ん゛ほお゛おおおおおぉぉぉぉすっきりー♪」 「いやだいやだ!!!まだゆ゛っくぢぢだごどないのにいいぃぃぃ…すっきりー♪」 やっと最後の子も死んだ。これでやっとゆっくりできる…。 だがまりさの考えが甘かった。 まりさは自分の子供が犯され続けたせいでありすの目標が『まりさの子供を犯す』というものだと思っていた。 今のありすがまりさを見つけてただで帰す訳がない。 まりさは標的は自分であることに気が付いてない。 「ハァハァ…まりさぁ、あがぢゃんも゛う゛おじまい?」 「そうだよ…ぜんぶしんだよ…わかったらさっさとどっかいってね…まりさもうつかれたよ…」 「あのごだぢじゃヤりだりないわ!ごんどはありすのあがぢゃんうんでねええええええぇぇ!!!」 「ゆゆっ!やめでぇぇぇぇ!!!いまはゆっぐりざぜでええええええええぇぇぇぇ!!!!!」 「ま゛りざあああぁあぁ!!まりざにはじょうぶなたまごをうんでも゛ら゛うのおおおおおおぉぉぉ!!!!」 「ゆ゛っぐりもに゛んげんもたまごどがう゛ま゛ないぃぃぃぃ!!!だずげでええぇぇぱぢゅりいいいいいぃぃ!!!!!」 あまりの恐怖に元妻の名前を叫ぶ。 だがもう彼女はこの世には存在しない。 「とがいはのでぐにっぐでめ゛ろめ゛ろにじでぱぢゅりいなんがのごどわずれざぜであげるうううううぅぅぅ!!!!」 「まりざはぎもぢよぐないいいいいいぃぃ!!!ありずなんがぎらいだああああぁぁぁぁ!!!!!」 「まりざああぁぁ!づんでれ゛もほどほどにじないどみんな゛にぎらわ゛れる゛わよおおぉぉ!!!でもぞんなまりざもだいずぎいいいぃぃ!!!」 「あ゛あ゛あ゛あああ!!!ありずのばがああああああぁぁ!!じねぇえええ!!くるじんでじねぇえぇ!!!」 「ん゛うううううぅ!!イクよ!!!ありずイグよおおおぉぉ!!!かわいいあがぢゃんいっばいうもうねええええぇえぇ!!!」 「いやだあああぁぁぁたずげでえええぇぇ!!!!おにいざんみでないでまりざをだずげでええええぇぇぇ!!!!」 憎き仇にすら助けを請うゴミクズまりさ。 こういう行動がゴミクズがゴミクズである所以なのだろうか。 だがジャスティスの邪魔をする事は何人たりとも許されない。 頑張って孕めよ、まりさ。 「んほほほほほおおおおぉぉぉぉ!!!!すっき!すっき!すっきりいいいいいぃぃぃぃ!!!!!!!」 「んあ゛あ゛ああああああああ…すっきりー…」 頭から芽は出るがこのまりさは成熟体なのでそう簡単に死なない。 それがわかったありすはすぐに第2ラウンドを開始していた。 「いまずっぎりじだでしょおおおおぉぉ!!!ゆっぐりざぜでよおおおおぉぉ!!!」 「ま゛りさあああぁぁぁ!!!もっどもっどあいしてあげるわああああああぁぁぁ!!!」 1本、2本、3本とどんどんまりさから芽が出る。 まだ成熟してないありすでこれとはね。恐れ入ったよ。 俺はまりさが犯される様子をただずっと見ていた。 「すっき!すっき!す!すっきりいい!すっきりいいい!すき!すき!すき!すっきりいいいいいいぃぃぃ!!!」 「…すっき…り……」 もう何回行為が終わっただろうか。 慣れてきたのかありすは1回の行為につき10回近くすっきりしてる。 まりさはもう蔦で埋もれてしまいありすはまるで植物と生殖行為しているようにさえ見える。 もういいな。 俺はポケットからナイフを取りだす。 これがキッチンから持ってきた最後のものだ。 そしておもむろに眼鏡をとる…見えないだけだな だがこういうのは雰囲気が大事って偉い人が言ってたっけ。 まあ位置は掴めているし殺り方も解っている。 ならやるだけだ。 「弔毘八仙―――無情に服す……!」 ナイフの軌跡にはカスタードと植物だったであろうものしか残らなかった。 続く このSSに感想を付ける
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ゆっくり射的 今日はお祭りの日。 いろいろな出店がある。ゆっくりにちなんだ店も今では珍しくなくなった。 ゆっくり焼きや冷やしゆっくり、水上まりさ釣りやカラーゆっくりなどもある。 もちろん普通の店もある。微妙に高い焼きそばとビールを買って花火でも見たいな、と思ったがそうもいかない。 俺も店を出してるからだ。その名も『ゆっくり射的』。 類似店がないからか、そこそこ盛況だ。ほら、また少年がやってきた。 「お兄さん!あの写真本物?どうやったらもらえるの!?」 写真とは射的の景品のことだ。あるスジから譲ってもらったり買ったりした。盗撮なんかじゃないヨ? 「おうともよ!あの写真は正真正銘の本物だ。むこうにゆっくりがいるだろ? アレを撃って、当たったら1点だ。点数に応じて写真をあげよう。簡単だろ、やってくかい?」 人里では妖怪に憧れる者も少なくはない。時に恐怖の象徴ともなるが、惚れこんでしまうものもいるという。 滅多に姿を見れない大妖怪ともなると、一部ではものすごい人気だという。 そういう人気の高い妖怪や、なかなか写真に撮られない(要するに写真自体が少ない)妖怪は高得点を出さないともらえない。 逆に人気があっても写真の枚数が多い妖怪などは簡単にもらえるようになっている。そのへんはお客の頑張り次第ということで… 「やるやる!いくらなの?」 「1回100円で弾は10発。 赤ゆっくりに当たるとどこでも1点。親ゆっくりは目と口に限り1点だ。それ以外は点数にならないぞ」 そう、この射的、的となるのはただのゆっくりではない。植物型にんっしんっ!をしたゆっくりなのだ。 頭に赤ゆっくりを生やした親を剣山で固定する。それを少し離れた所から狙い撃つというものだった。 ルールを説明するとお兄さんは少年にライフルを渡す。もちろん本物ではない。 「じゃあ撃っちゃってよ!」 「よーし、狙い撃つぞー!」 第一射。親ゆっくりに命中! 「いだいぃぃぃぃぃぃっぃい!どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「「「おがぁしゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」 「お、なかなかやるな。でも親のほっぺただから点数にはならないぞ」 「くっそー、ところでお兄さん、レミリアの写真は何点でもらえるの?」 「レミリアか、えっと、5点だな。あと9発ある。がんばれよ」 実はこの射的、そこそこ難しい。親が少しでも痛みから逃れようと動く。頭上の赤ゆっくりも動く。 ただでさえ小さい的が動くのだ、10発全部はずれということもよくあることだ。 「次は当てるよ!」 第2射。はずれてしまった。 しかしゆっくりからするとはずれははずれで怖いものだ。何せ自分の近くを弾が飛んでいくのだから。 ゆっくりにとってはどちらにせよ地獄だった。 その後少年は6発はずしてしまった。 「お兄さん!難しいよこれ!」 「んー?じゃあちょっとサービスな」 そう言ってお兄さんは親ゆっくりを剣山に深く差しこむ。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!でいぶのあんよがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「これで親は動かない。がんばれよ」 「ありがとうお兄さん!」 第9射。サービスのおかげか赤ゆっくりの眉間(?)に命中し、それを吹き飛ばした。 「でいぶのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「「おにぇえちゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」 「もっちょ、ゆっきゅりしちゃかっちゃ…」 「どぼぢでごんなごどずるの!?でいぶのあがぢゃんがえじでね!!」 「うるせーなー。少年、次は親の口に当てちゃってよ。黙らせたら特別に4点あげるよ」 「えっ!?本当にいいんですか、やっちゃいますよ!」 「ゆっぐりじでないででいぶのあがぢゃんなおじでね!!ぞれどだべものももっでぎでね!!」 本当にうるさい饅頭だ。当然今自分が置かれている状況なんざ理解してないんだろうな。 そして第10射。口には当たらなかったが。 「でいぶのづぶらなおべべがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「「みょうやだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!おうぢぎゃえりゅぅぅぅぅぅぅぅ!!」」 まだ生まれてすらいないのにどこに帰るってんだ。それはともかく。 「お、目か。特別に2点だ!おめでとう!じゃあ写真はこのなかから選んでね」 合計3点。なかなかいいスコアだ。写真も中堅妖怪ならあらかたそろっている。 「うーん…」 「いいのがなかったのかい?それならもう1回やって、2点以上とれたらレミリアってのはどうだい?」 「いいの?じゃあもう1回やるよ!」 「あいよ、また10発な」 「あ、お兄さん、僕もやる!」 「俺も俺も!」 「私も!」 ゆっくりの悲鳴が集客効果も果たしてくれたようだ。 「よしよし、みんなルールはわかってるな?しっかり狙えよ!」 「やべるんだぜぇぇぇぇぇぇぇ!!ばりざのがわいいあがぢゃゆべっ!?」 「まりざ?どうじだの?みえないよ!?」 「まとなんだねーわかるよー」 「ごんなごどずるなんでいながもの、の?ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 「サービスしといたぞ。動かないうちに当てろよー」 「むきゅ…むきゅ…」 「あ、あのぱちゅりー弱ってる!」 「むぎゅぅぅぅぅぅぅ!やべでっ!あがぢゃんじんじゃうぅぅぅぅぅ!」 お客さんも俺も、そしてゆっくりも楽しい時間を過ごせましたとさ。 舞台裏ならぬ屋台裏 「このまりさはもう駄目だな」 赤ちゃんも全部落ちたし、目も口もぐちゃぐちゃだ。 「こんなのでよかったら食べるかい?」 子供たちはくれるものなら、と喜んで食べてくれる。さぞや甘かろう。 おっと、こいつの分を補充しないとな。店の裏手にいる手伝いの虐待お姉さんに声をかける。 「新しいゆっくり用意してー!」 頼まれたお姉さんは大きな箱の中から適当にゆっくりを取り出す。 「今回はれいむか、それと…」 今度は『繁殖用』と書かれた箱の中からありすを取り出す。 「はいありすちゃん、このれいむとすっきりー!しようね」 「はぁはぁ、おねえさん、とかいはのありすはもうすっきりー!したくないよ…」 なんだって繁殖用にレイパーありすを使わなかったんだろと思いつつ、注射器を手に取る。 当然ありすの言うことなんかにいちいち耳をかさない。 「あんたは黙って私の前で汚らしく交尾してればいいのよ」 媚薬をありすに注入する。だんだんと息遣いが荒くなってきた。 手から離したとたんにれいむにとびつくありす。 「れいむかわいいよおおおおおおおおおおおおありすがあいしてあげるからねええええええええええええ!!」 「おねーさんたすけて!れいむゆっくりできなくなっちゃううううううううううう!」 「何事も経験だ、GO!」 「ああああああああああああああああああああ、ずっぎりー!」 「とかいはのありすはいっかいじゃまんぞくできないわ!もっとあいしあいましょれいむうううううう」 「お前はもうおわりね。また出番が来たら出したげるからまってなさい」 「ありすまだすっきりしてないのにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」 ありすを箱に詰めなおした頃にはもうれいむの頭から赤ゆっくりが生えていた。 そういう薬を使ってるからね。おお、ご都合主義ご都合主義。 「ゆ!?もうあかちゃんできたよ!ゆっくりしてないね!でもかわいいよ!」 「亜阿相界、今のうちによーくかわいがってやりなよ。もうすぐゆっくりなんてしてられなくなるから」 「おねーさんなにいってるの?これかられいむたちはとってもゆっくりするんだよ?ばかなの?しぬの?」 「へいへい、そりゃーゆっくりした話ですこと」 適当に流しながらそのれいむを店の表へ持っていく。 「ゆゆ~♪おそらをとんでるみたい~♪」 「はい着地ー!どーん!」 「どぼじでごんなごとずるのおおおおおおおおおおおおお!でいぶのあんよがああああああああ!ゆっぐりでぎないいいいいいいい!」 剣山に突き刺されるれいむ。まあ動かないという意味ではとてもゆっくりしてるよ、うん。 「あ、このぱちゅりーももう駄目ですね。新しいの持ってきますね」 そういってお姉さんはまた店の裏に戻って行った。 あとがき ゆっくりんピース?なにそれおいしいの? 俺も射的したい。チルノの写真欲しい。 byまふ